Trauma bond / The Violence of Spring
イギリスのグラインドコア/パワーヴァイオレンスによる初フルレングス。
2人ともヴォーカルとクレジットされており、他の担当パートが不明なロンドン出身の男女ユニットです。
「Trauma Bond」とは、「危険、恥、搾取の存在下で発生する機能不全のアタッチメント」として定義された用語のようです。
謎めいた佇まいですが、凄まじい暴力性に満ちたカオティックなグラインドコアを聴かせてくれます。
重苦しいリフワークや暴発する前のめりなブラスト混じりのドラムは、NailsやTerminal Bliss、Convergeといった激烈なハードコアの因子が脈々と受け継がれています。
軋むノイズの荒涼としたインストM-1“O.C.B.”と地続きのM-2“The Violence of Spring”からわかるように基本的に1分~1分半のショートナンバーで駆け抜けます。
パンクノリの軽やかなリフを重たいチューニングでぶん投げてくるM-3“Revolution”、一転スラッジの重圧感と常軌を逸した暴走をスイッチするM-4“Total Fermentation”、喚き散らすVoのコンビネーションと高低差のある立体的なリフワークが癖になるM-5“Daddy Do”、もはや声にならない叫びと邪悪なトレモロに臓腑を引きずり倒されるM-6“Ill Will”、作中最長の約5分のノイズで砂塵を作るM-7“Double Denim Dissociative Disorder”、ノイジーに崩したトライバルなハンマービートとがなり声が凶悪なインダストリアル・スラッジM-7“Little One”、高速で刻むリフと圧殺感のあるスラミングを入れ込みカオティック・ハードコアとブルデスを混ぜたようなM-9“Syndrome Imposter”と、爽快感のある約20分です。
速ければいいんだよ!な正義はもちろんのこと、速さと遅さの絶妙なコントラストが産み出す気持ち良さもしっかりある凄まじい完成度の作品です。
一応、SpotifyやBandcampではフルアルバム的な位置付けのようですが、MetallumではEP扱いとどちらかが正しいのかは不明です。
また、デジタルしかないのでフィジカルが欲しいところ。
頭がぐちゃぐちゃになるカオスなハードコアやグラインドコアが聴きたい方には手放しでオススメですね。
1. O.C.B.
2. The Violence of Spring
3. Revolution
4. Total Fermentation ★
5. Daddy Do
6. Ill Will
7. Double Denim Dissociative Disorder
8. Little One
9. Syndrome Imposter
(2021/自主制作)
Time/19:21