Saille / Gnosis
ベルギーのシンフォニックブラックメタルバンドによる4作目フルレングス。
安定したそつのないシンフォニックブラックを聴かせてくれることで定評のあるバンドです。
前作から少し王道からずれたアヴァンギャルドでスペーシーな音使いを使いだし、ホラー映画のような世界観を構築、この辺りはCarach Angrenに通じるものがあります。
そして今作は、そのホラー要素をさらに大仰にしています。
そのため、それこそフィルムスコア的華美さが伴っているので前作以上に賛否があるかと思いますが、前作は叩き台だったんだなと思えるほどに今作の完成度は高いです。
初期にあった王道シンフォブラックのトレモロによる吹雪自体は減退していますが、トレモロで描き出す暗黒の空気はより増大、これは新加入のギタリストによる貢献ですね。
ブリザードのトレモロも、前作よりは戻っており、前作で見せた暗黒ブラックとの折衷で聴かせてくれます。
不気味なシンセフレーズに被さる形で展開していくM-1“Benei Ha'Elohim”で何かを召喚する儀式のような妖しさを伴いつつ、寒々しいブラックメタルであるM-2“Pandemonium Gathers”やM-6“Prometheus”でシンプルに疾走していきます。
近年のMayhem的なM-7“Thou,My Maker”やDimmu Borgir的な麗しさと妖しさをまとったM-3“Blot”で多彩さを見せつけておいてからのM-9“1904 Era Vulgaris”の大爆走ブラックの絶頂感で幕を下ろす構成はなかなかのもの。
そつのない安定した作品であるのは相変わらず。
質の高いシンフォニックブラックを聴きたい方にはお薦めしやすいのも相変わらずですね。
1. Benei Ha'Elohim
2. Pandemonium Gathers
3. Blot
4. Genesis 11:1-9
5. Before The Clawling Chaos
6. Prometheus
7. Thou,My Maker
8. Magnum Opus
9. 1904 Era Vulgaris ★
(2017/Code 666)
Time/45:01