Enemy Inside / Phoenix
ドイツのオルタナティブメタル/ゴシックメタル/ラウドロックバンドによる初フルレングス。
非常に美しい作品です。
Mystic ProphecyのEvan Kが新たに美貌のボーカリストNastassja Giuliaと結成したバンドです。
その音楽性はグルーヴィーなリフと美しくゴシック的なメロディーラインを強調したもの。
Evanescence辺りからの影響が非常に濃いです。
ただし、Evanescenceよりもメタル的なアグレッションと重厚さは強めであり、タメを重視したミドルテンポのグルーヴはDisturbed辺りのオルタナティヴメタルにも通じます。
何より、どの曲にも流麗なギターソロが配置されているのが彼らの特徴かも。
この辺りは、明確なオルタナティヴメタルとの差異だと思います。
あくまで中心にあるのは儚げで美しくもキャッチーなギターメロディーと、可憐と妖艶の中間を行き来する柔らかい歌声。
それはオープニングを飾るM-1“Falling Away”から一貫しており、うねるように重厚な演奏が最後まで楽しめます。
複雑なドラムとベースでグルーヴを作り開放的な歌が心地好いM-2“Bleeding Out”、儚げなメロディーを繊細なギターに乗せてメタリックな刻みでドライヴするM-3“Phoenix”、地を這うグルーヴと攻撃的なリフが天に昇るような歌声と対比するようなM-4“Lullaby”の前半でもなかなかの完成度を見せつけます。
幻想的なメロディーが印象的な仄かにアップテンポなビートも癖になるM-6“Angel's Suicide”、中近東よりのメロディーラインで妖しく迫るM-7“Death Of Me ”、胸をかきむしるような慟哭メロで聴き手を抉るM-8“Oblivion”、一転どこまでも開放されるような伸びやかで清らかなメロディーが美しいM-9“Halo”の流れは悶絶物。
アルバムのテンションという観点ではバラエティに富んでいるわけではないですが、とにかく曲が素晴らしいので聴き疲れがしません。
Nastassja嬢の声質が非常にツボなのも個人的に良かったです。
特に作中唯一のバラードであるM-10“Dark Skies”の触れたら壊れそうなほど繊細な美しさはハッとしますね。
突出して個性的なバンドではありませんが、完成度もずば抜けて高く、ただただ自分の琴線に触れまくる作品でした。
俺得って奴ですね。
1. Falling Away
2. Bleeding Out
3. Phoenix
4. Lullaby
5. Doorway To Salvation(Ft.Georg Neuhauser)
6. Angel's Suicide
7. Death Of Me
8. Oblivion ★
9. Halo
10. Dark Skies
11. Summer Son
12. Doorway To Salvation
13. Fire
(2018/Rock Of Angels)
Time/54:17
※M-12,13日本盤ボーナストラック