むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Veiled In Scarlet / Atonement

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日本のメロディックデスメタルバンドによる3作目フルレングス。


日本のメロデスに多大な影響を与えたSerpentのKeija氏によるバンドであることは周知の事実。
国産メロデスの特徴でもある、やりすぎなほど過剰に炸裂する美メロは今作でも聴けます。
前作は、メロディーやリフは良かったのですがVoがあまり合っていなかったと思いましたが、今作で交替し、新しいVoで再出発しています。
心機一転という意味で、非常に強力な作品に仕上がっています。
実質オープニングを飾るM-2“The Throne”からして劇場型とも言える慟哭の哀メロが炸裂し、これが最後まで走りっぱなしです。
さらに言えば重量感も増しており、哀感も増量。
走りっぱなしの中に様々な表情を見せるので、一辺倒というわけではありません。
ダンサブルなリズムがいい癖を生むM-3“Prisoner's Sorrow”の少しおどけた悲しみは戯曲のようだし、VIS節が炸裂する圧巻のギターソロが堪能できるM-5“Incarnation Of Fear”の手抜かりのなさ、最後を飾る吹き荒ぶ吹雪のようなメロディーが少し邪悪な美しさを孕むバラードのM-10“Roar The Winter”の哀しみに天を仰ぐような世界観の素晴らしさ。
シンフォニックメタルのような大仰さは過去最高ながら、ギターオリエンテッドではあるため、そのままオーケストラが入ってもおかしくないド派手なM-8“Dark Prayer”でも全くくどくないバランスがいいですね。
80'sメタルの熱さと北欧メロデスの哀愁ががっぷり噛み合ったM-4“Atonement”のリフの気持ち良さは日本のバンドらしいそつのなさが光ります。
国産メロデスの中でも真打ちのような存在感を誇る作品です。
コンパクトにサクッと聴ける走行時間ながら、こってり濃厚な演奏で何度もリピートできてしまう中毒性もあります。
この手のメロデスは、実は私はそこまで熱心に聴かないのですが今作はかなりハマりました。


1. Closer To Dawn
2. The Throne
3. Prisoner's Sorrow
4. Atonement
5. Incarnation Of Fear
6. In The Void
7. Insurrection
8. Dark Prayer ★
9. Blind Crow
10. Roar The Winter
(2018/Walkure Records)
Time/36:44