むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Muse / Simulation Theory

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Muse / Simulation Theory


UKのロックバンドによる8作目フルレングス。


賛否真っ二つであろう作品です。
私は“Black Holes & Revelation”までは非常に熱心に聴いていて、それ以降はそこまで追いかけては来なかったですが、今作はかなり好きです。
これまでのMuseのイメージでもある、派手でやりすぎなくらいのメロディー大爆発!という路線ではありません。
そればかりか、ギターロックというよりもエレクトロな要素が目立ち、それは“The 2nd Low”よりも濃厚です。
ですが、そこかしこに仕込まれたもの、例えばメロディーの癖やベースライン、時にファンクを思わせるリズムは確かにMuseです。
わかりやすいスピードやギターの攻撃性はなくとも、ロックの攻撃的な部分は出せるというのは、アタック強めのビートに切り込むリフが重厚さを与えるM-4“Propaganda”が証明していて、Museの壮大さは浮遊感と共に展開していくM-1“Algorithm”に裏打ちされています。
Museらしいメロディーが軽やかかつ少し陰りを帯びて走るM-2“The Dark Side”、ダブステップのような痙攣するリズムで踊らせるM-5“Break It To Me”、壮大で哀愁あるメロディーを華やかに聴かせる名曲“Starlight”を彷彿とさせるM-6“Something Human”まで来ると、間違いなくMuseを聴いてるんだという感慨に浸れます。
Alt-R&Bのような儚いコーラスにMatthewが切なげに歌うロックバラードM-8“Get Up And Fight”はありそうでなかったような素直な曲だし、初期を思い出させる重層的なコーラスとギターが炸裂するM-9“Blockades”はしっかりMuseしているわけで。
実験的と言われていますが、その実彼らの芯は全くぶれておらず、それどころかポピュラリティに強化されたなかなかの力作だと思います。
個人的には、Nine Inch Nailsの“Year Zero”を思い出しました。
ど派手なアートワークも、どぎつくてなかなか良いですね。


1. Algorithm
2. The Dark Side
3. Pressure
4. Propaganda
5. Break It To Me
6. Something Human ★
7. Thought Contagion
8. Get Up And Fight
9. Blockades
10. Dig Down
11. The Void
(2018/Warner Music
Time/42:02