むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Aisuragua / In Morte Veritas

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Aisuragua / In Morte Veritas


スペインのプリミティヴ/ディプレッシヴブラックメタルバンドによる5作目フルレングス。


初めて聴くバンドですが、なかなか個性的な作品です。
L氏という謎めいた人物の独りバンドで、その最大の特色は哀しみに暮れた芳醇で美しいブラックメタルとしてツボを的確に押さえたメロディーと絶望に満ちたVo。
スタイルとしてはDarkthroneの“Transilvanian Hunger”に影響を受けたと思しきツタツタと一定のスピードで突っ走るもので、実質幕開けとなるM-2“The Day Of Blasphemy”からM-7“Solve Et Coaguia”にいたるまで、基盤のテンポは変わりません。
かといって単調に感じさせないのはメロディーの美しさに依るところが大きいです。
ちょっとした緩急の付け方もあるにはありますが、雰囲気を作り上げるニュアンスが大きいので退屈と感じる方はいると思います。
今にも泣き出しそうな絶望を吐露するM-4“In Morte Veritas”のメロディー感はなかなか胸に迫りますし、M-6“My Pilgrimage Is Over”の絶望にとっぷり暮れた音像はそんじょそこらの鬱ブラの中でも群を抜いた出来栄えです。。
独りバンドですが、プロダクションはかなり良好でドラムもたぶん、L氏が叩いていると思います。
機械っぽさは感じられないので。
メロディーもさることながら、そのVoこそが彼最大の特徴。
今作には、ブラックメタル特有のギャアギャアがなるグリムVoはほとんど聴かれません。
鬱ブラック特有のヒョーヒョー甲高い悲鳴に近いのですが、若干違う。
ほぼほぼクリーンに近いですがのっぺりしており、断末魔のようにも呪詛のようにも聴ける不思議なVoのため、好き嫌いははっきり分かれます。
さらにかなり奔放に歌われるため、意表を突かれること必至。
個人的にはもっと絶叫染みたグリムVoの方が好みですからそういうタイプのVoだったらもっと好きになれていますね。
聞き慣れると味わい深いですけども。
癖のある声のため気軽に誰にでも薦められるわけではありませんが、メロディーそのものは日本人受けするタイプなので、聴いてみても損はないかと思います。


1. Rales.Introduction
2. The Day Of Blasphemy
3. Invitation To The Journey
4. In Morte Veritas ★
5. The Green Spear
6. My Pilgrimage Is Over
7. Solve Et Coaguia
(2018/Hidden Marly Production)
Time/36:08