American Football / American Football(LP3)
USのエモ/オルタナティブロック/ポストロックバンドによる3作目フルレングス。
個人的にはエモとポストロックを繋ぐバンドという認識ですが、かなり人気のあるバンドで、それこそ一部では伝説視されているほど。
17振りとなった復活作となる前作でも、彼らの音楽性は変わることなく健在で、前作より2年という予想より遥かに短いスパンで届けられた今作でもそれは変わりません。
彼らの音楽性の基盤はエモに根差していますが、その根本は穏やかな名刺となるM-1“Silhouette”を聴けばわかるように、小難しいジャンルを抜きにして聴ける“いい曲”ただそれだけで成り立つと思います。
木漏れ日のように穏やかなアメリカーナの装いで胸に迫るM-2“Every Wave To Ever Rise”、少し軽やかなリズムと反復するギターの隙間から歌が溢れるM-3“Uncomfortably Numb”に変わらぬ美しさを見出だせるでしょう。
ふくよかなギターでじっくりと彩りをつける残響も美しいM-5“Doom In Full Bloom”、痛切な悲しみを吐露する恐らく作中最も躍動感のあるM-6“I Can't Feel You”、温かくも切ない彼らの真骨頂とも言える瑞々しいギターが聴けるM-7“Mine To Miss”、丁寧に爪弾かれるアルペジオの囁きが宙にほどけていく音響に溜息が出るM-8“Life Support”に至るまで聴き終えると、自らの青春の残滓が去来するような妙な感慨が浮かぶでしょう。
今作のトピックとして、SlowdiveのRachel GoswellやParamoreのHayley Williamsらがゲストとして華を添えていることが挙げられます。
ジャンル的に対極にいるような両者を招くことができるのも、彼らの築いた礎を振り返るに当然なのかな、と。
1. Silhouettes
2. Every Wave To Ever Rise
3. Uncomfortably Numb
4. Hair Apparent
5. Doom In Full Bloom
6. I Can't Feel You ★
7. Mine To Miss
8. Life Support
（2019/Tugboat Records）
Time/47:13
