Goatwhore / Vengeful Ascension
USのブラックメタル/スラッシュメタルによる7作目フルレングス。
Motorheadがブラックメタルを演奏すればどうかを体現したのが、Goatwhoreというバンド。
徹頭徹尾掘り下げ続けている為、音楽性そのものに変化はありません。
それでもアルバムの流れは結構考えられていて、いわゆるA面である前半はMotorhead的なブラッケンロールで固めつつ、後半にトレモロピッキングによる冷たいメロディーが吹き荒れるブラックメタルの素養が強まる体裁。
この構成は前作でも見受けられ、完成度の高さを見せつけました。
それを受けての今作ではどうかと言えば、完成度は変わらず高いです。
シンプルが故の強さと鋭さを保持したまま、というのは感嘆します。
反面、だからこその弱さもあって、それは偉大なるマンネリズムという名の新鮮な驚きの乏しさ。
そんな中でもハッとするような妖しいギターソロを聞かせるM-6“Drowned In Grim Rebirth”のように振り切った曲がもっとあれば前作を凌駕する作品に仕上がっていたのではないかと思います。
M-7“Abandon Indoctrination”のような90s北欧ブラックへの憧憬を隠そうともしない曲をこのバンドが今更やる、というのは嬉しかったです。
個人的には、前半よりもブラックメタルの冷たく沈鬱なメロディーがふんだんに盛り込まれた後半の方が楽しく聴けました。
バンドが求められている音に忠実すぎるのも物足りなさを感じる要因なのかな、と思います。
より強固にこの路線を保持していくのか、方向を転換するのか、今後の動向にも期待しています。
ただこの路線は前作で完成を迎えた形にもなっているので、前作のハードルはなかなかに高いと思いますが。
コンスタントに作品を発表しているのは嬉しいですね。
1. Forsaken
2. Under The Flesh,Into The Soul
3. Vengeful Ascension
4. Chaos Arcane
5. Where The Sun Is Silent
6. Drowned In Grim Rebirth
7. Abandon Indoctrination ★
8. Mankind Will Have No Mercy
9. Decayed Omen Reborn
10. Those Who Denied God's Will
(2017,Metal Blade)
Time/41:53
※デジパック、歌詞ポスター付