むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Acârash / Descend To Purity

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Acârash / Descend To Purity


ノルウェーブラックメタルバンドによる2作目フルレングス。


2016年結成の新進気鋭、Metallumで見たところスプリット等にも顔を出さない謎めいたバンドです。
明瞭かつメタリックな重さを湛えつつ、純度の高いブラックメタルを演奏しており、昨今のブラックのトレンドでもある、吹雪の冷たさではなく地下室の湿った冷たさを全面に押し出したメロディーを掻き鳴らしています。
神経を引っ掻くような暗黒が滲んだ冷たくギターが地獄の蓋を開けるM-1“Descend To Purity”のロックンロール的な突進は、最近のSatyriconに通じるものがあり、作品の方向性を決定づけています。
ガリガリとした厭世的な雰囲気がまとうリフワークにダイナミックなドラムが合わさるM-2“Satanic Obsession”、重厚なリフが蛇のようにうねる邪悪なメロディーを寒々しく叩きつけるM-3“Desecrate,Liberate”、気だるく重苦しいグルーヴに若干開放的なメロディーを合わせて独特の儀式めいた空気を撒き散らすM-4“Goat,Skull,Ritual Circle”、悲壮的なトレモロが噛みつき速度に頼らない凶暴性で迫りながらどんどん疾走して〆るM-5“Below Ceremonial”に辿り着く頃には、焦らすようなBPMの毒性がじわりじわりと効いてくるはず。
ゆっくりと邪悪で暗黒感の強いメロディーが湿った地下室に放射されるようなM-6“Three Knives Cold”、反復し酩酊するようなリフが薄気味悪いメロディーと合わさって異様な緊張感を作り上げているM-7“Steel Hunter”、ドゥームメタルに近い雰囲気にどことなく寂しげなメロディーが枯れた味わいを残して幕を引くM-8“Red Stone Betrayal”と、最後まで邪悪な作品に仕上がっています。
ブラックメタルとしてのわかりやすい部分はあまりないのですが、起伏の激しさや溜めるグルーヴには、SatyriconやTulusといったバンドが好きな方には刺さると思います。
聴いていて厭な気持ちになるメロディーが堪能できる一枚。


1. Descend To Purity
2. Satanic Obsession
3. Desecrate,Liberate ★
4. Goat,Skull,Ritual Circle
5. Below Ceremonial
6. Three Knives Cold
7. Steel Hunter
8. Red Stone Betrayal
(2020/Dark Essence)
Time/38:16