むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Ares Kingdom / By The Light Of Their Destruction

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Ares Kingdom / By The Light Of Their Destruction


USのデスラッシュバンドによる4作目フルレングス。


2作目である“Incendiary”が隠れたデスラッシュの名盤であり、個人的にもDimension Zeroの“He Who Shall Not Bleed”と並んで大好きな作品です。
彼らの音楽性は辛味のあるメロディーを主軸にしたスラッシュ寄りのデスメタルと言ってもいいのですが、今作では少し趣を変えてブラックスラッシュにも若干接近しました。
そうは言ってもM-1“The Hydra Void”で聴ける気を吐く切迫感のあるデスラッシュが徹頭徹尾貫かれています。
重みのある音像の中でリフが高速で刻まれるM-2“Burn,Antares(Scorpius Diade)”、ざらついた毒気をぶちまけながら複雑に入り組んだ構成で聴かせるM-3“Dark Water Eridanus”、直線的にドライヴするリフの刻みがやけに心地良いM-4“Eighteen Degrees Beneath”の怒濤の勢いに否応なしに身体が動きますね。
表情を変える重圧を与えるようなM-6“”の加速度や邪悪さを全面に出したブラッケンドデスラッシュM-7“”、原始的なドラムが暗黒的なブラックスラッシュに塗り替えられて幕を強制的に下ろすM-8“”にいたるまで、凄まじいまでの殺気が渦巻いています。
この殺気の出所はプロダクションも関係しているのでしょうが、時に獣のような雄叫びも発するVoの影響も大きい。
Alex Blumeの声質はなかなか邪悪で、カッコいいです。
単純にカッコいい作品なのですが、売れる要素はますます減退しているので、好事家の皆様には是非お薦め。
ただまあ、最初に彼らを聴くのであればやはり“Incendiary”がいいと思います。


1. The Hydra Void
2. Burn,Antares(Scorpius Diadem)
3. Dark Water Eridanus ★
4. Eighteen Degrees Beneath
5. Allegory
6. The Bones Of All Men
7. Iconologia
8. Talis Chimera Est
(2019/Nuclear War Now! Production)
Time/37:06