むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Necronautical / Apotheosis

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Necronautical / Apotheosis


UKのブラックメタルバンドによる3作目フルレングス。


初めて聴きましたが、質の高い作品です。
革新的な要素があるわけではありませんが、初期のEmperorをなぞるようなシンフォニックブラックに近しい音楽性です。
UKのシンフォニックブラックと言えばCradle Of Filthですがあちらにはあまり似ていません。
ダニのように金切りスクリームではないですし、威圧的なグロウルが主体です。
厭世的な空気を滲ませるギターが宗教的なコーラスを塗り潰していくM-1“All Is Vanity”から非常に重心の低くスラッシーなメロブラを聴かせてくれます。
パイプオルガンの調べが美しく不気味で吹雪くトレモロとの相性も抜群なM-2“Nihil Sub Sole Novum”の鬱ブラック的な雰囲気の作り方も巧く、ポーランドのブラックの重厚でデスメタリックなバッキングの上で乱舞するメロディーが妖しいM-3“Lure Of The Abyss”、プリミティブな色の濃いリフが薄く煙るロンドンの灰色の空気を演出するようなM-5“Totentanz”、美と醜を行き来して緩急の落差が激しく劇場型の壮大なブラックメタルM-7“The Endless Spiral”までそつなく聴かせてくれます。
一曲が比較的長めな大曲志向なので集中力はいりますが、クリアかつメロディアスで、暴虐性も程好くあるので聴きやすい作品です。
Candlelightからリリースされるのも納得の作風ですね。


1. All Is Vanity
2. Nihil Sub Sole Novum
3. Lure Of The Abyss
4. Apotheosis
5. Totentanz
6. Here Begins The Fall
7. The Endless Spiral ★
(2019/Candlelight)
Time /50:18