むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Tryglav / Night Of Whispering Souls

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Tryglav / Night Of Whispering Souls


クロアチアのメロディックブラックメタルバンドによる初フルレングス。


はい、完全に某CD屋さんの帯に騙されました。
Cradle Of FilthやDimmu Borgirを引き合いに出されてシンフォニックなアレンジ云々とありましたが、スタイルは大きく異なります。
まず、シンフォニックブラックの要素はありません。
そもそもオーケストラ以前にキーボードによる味付けすらないです。
前述のバンドよりも、DissectionやDark Funeralに近いメロディックブラックが根底にあり、暴虐的に突進するM-1“Under My Skin”が象徴するように、比較的ストレートに疾走する曲が多め。
夜を冷たいトレモロピッキングで駆け抜けるM-2“Night Of Whispering Souls”はメロディーラインと言い表題と言いそこかしこにDissectionを感じてニヤリとする人は多いのでは。
四つ打ちから厭世感を打ち出したプリミティブブラック寄りのメロディーをじっくり聴かせるM-3“Deadline”、冷たく邪悪にスラッシーに疾走する90sブラックを想起するM-4“Evil Dead”、ヴァイキング風の雄大なリズムに雄々しいコーラスを轟かせるM-5“Creature Of The Night”の多彩な楽曲が並びますが、きっちり緩急があるのが非常に素晴らしい。
M-6“Werewolf”のトレモロによる猛吹雪で押す王道のブラックメタルに思わず天を仰ぎ、絶叫が響き渡る悠然と聴かせる美麗なギターソロまで飛び出す終幕M-7“Beyond The Limit”まで飽きさせず、構成上M-1に繋がる様が心憎い。
そのため、7曲36分というコンパクトなサイズですがつるりとリピートしてしまいますね。
Boris Behara氏の一人バンドですが、作り込まれた緻密な音構成やクリアながらも邪悪で冷たい感触を残した音像は、非常に完成度が高いです。
ドラムも生のものを使用しているマシンなのかそれともBoris氏が叩いているのかわからないほどで、Boris氏が叩いているのだとしたらかなりの名手なんじゃなかろうか。
バンド名とロゴ、めちゃめちゃカッコいいなあと思ったのが購入の決め手です。


1. Under My Skin
2. Night Of Whispering Souls
3. Deadline
4. Evil Dead
5. Creature Of The Night
6. Werewolf ★
7. Beyond The Limit
(2019/Extreme Metal Music)
Time/36:10