むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Next To None / Phases

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Next To None / Phases


USのプログレッシヴメタルコア/ハードコアバンドによる2作目フルレングス。


何故か日本では無名に近いバンドですが、彼らはMike Portnoyの息子であるMax Portnoyが在籍するバンドで、前作ではMike Portnoyがプロデュースをしたりしていました。
いわば父親の庇護を抜け出してからの新作となるわけで、実質的には1stに近いものだと思います。
その今作ですが、簡単に言えばDream Theaterのファンにはオススメはしませんし、できません。
当然ですが、息子がいるからって親父と同じことをやるとは限りませんしこのバンドにPortnoy在籍時のDream Theaterを期待するのが間違いです。
今作の簡単な特徴は、様々なモダンな要素を盛り込みプログレッシヴメタルの感性で煮詰めたメタルコアです。
様々な要素というのが曲者で、EDMは勿論のこと、ハードコア、ヘヴィメタル、ジャズ、ヒップホップ、ダブステップ、ポップスと多岐に渡ります。
それをメタルコアの強靭な演奏で強引にまとめあげている代物。
そのため、プログレッシヴではあるけどそう表現するには前衛的に近く、何より非常に若々しい恐れの知らない野心に満ちています。
それ故に“Painkiller”のようなドラムから強引にダブステップとEDMを割り込ませる異物感に満ちているのにやたらキャッチーなM-3“The Apple”のような突然変異な曲が出てくるんですよね。
この絶妙なポップネスはThomas Cuce(Vo,Key)の存在感ある歌唱のおかげで、Djentなリフとグロウルで暴虐性を発揮したかと思えば清涼感たっぷりのクリーンでコーラスにもつれ込むM-7“Clarity”の二面性や、繊細かつダイナミックな展開で聴かせるM-11“Denial”といった曲ではとにかくよく映えます。
難点もしっかりあって、これはプログレっぽさを出すためかはわかりませんが、長い曲はとにかく長い。
特に20分あるM-12“The Wanderer”はクールなリフも多々聴けるもののまとめきれずに暴走してしまっているので非常にもったいないです。Djent→ロカビリー→Queenに繋がる序盤の流れは面白いですけどね。
弱点も明確にあるのですが、若者らしい傍若無人な様はなかなかに頼もしいので、この歪さを是非とも周囲の雑音に惑わされずに磨き上げていってほしいですね。


1. 13
2. The Answer
3. The Apple ★
4. Beg
5. Alone
6. Kek
7. Clarity
8. Pause
9. Mr.Mime
10. Isolation
11. Denial
12. The Wanderer
(2017/InsideOut)
Time/78:15