な、何と結成30年以上のスウェーデンのデスメタル重鎮の一つRunemagickにインタビューを敢行しました!
Runemagick、私が一番好きなデスメタルだったりもして、夢みたいです。
答えてくれたのは、バンドの創始者でもあり中心人物であるNicklas "Terror" Rudolfssonです。
インタビューを受けてくれてありがとうございます。大変光栄です。
Q. 新しいアルバム『Beyond the Cenotaph of Mankind』が4月にリリースされます。どのようなアルバムになっていますか?
Nicklas:
私見だが―Runemagickの音が滲み出るようなアルバムだと思う。劇的な新しさはないが、アルバムの素材は多様で、曲はそれぞれ少しユニークに聴こえると思う。しかし、前述のようにそれはRunemagickの枠の中にあるものだ。サウンド面でも、とても良い仕上がりになったと思うよ。ちょっとダーティーで、クリーンすぎず、俺たちの音楽に合っている。ミックスとマスタリングはJohan Bäckman (Raven Noise Studio)が良い仕事をしてくれた。
Q. 『Beyond the Cenotaph of Mankind』は、これまでとレコーディング方法は異なりますか?
Nicklas:
そうでもないんだ。ドラムは本物のスタジオで、今回はストックホルムのStudio Humbuckerで、Robert Pehrsson (Death Breath, ex Runemagick) をバックにレコーディングしたんだ。あとは自宅のスタジオで録音した。その後、Raven Noise Studioでミキシングとマスタリングを行った。
Q.「Endless Night and Eternal End」を聴く限りでは、サウンドプロダクションがより巨大になっていて、過去の作品よりもブルータルな印象を受けます。ミキシングは変わらずJohan Bäckmanです。本作の仕事もいい感じですか?5人目のメンバーといった印象です。
Nicklas:
そうだな、やはりJohanの仕事には非常に満足している。間違いなく、これまでで最高のサウンドミックスに仕上げてくれた。また、俺たちはMasticator、Neurotic、Heavydeath、Necrocurseなど、30年以上にわたって数々のバンドで一緒に演奏してきた。だから、俺たちは密接な協力関係にあるんだ。確かに、そういう意味では彼は5人目の、あるいは見えないメンバーと呼べるかもしれないな。
Q. Runemagickは1990年結成で、非常に長い歴史を持っています。結成当初のことや、バンドをはじめるに至るまでのことを教えて下さい。
Nicklas:
そうだな、年が経つほどに。最初は自分のプロジェクトとして始めたのだが、すぐにRobert Pehrssonが加入して、バンドとしての性格が強くなっていった。1993年頃までは、そのデュオのラインナップを中心に活動していたな。その間にJohan Norman (Dissection, Soulreaper, Trident) やAlexander Losbäck (Decameron) などのゲストミュージシャンと何度かギグをしたんだ。また、その間に多少なりとも公式なデモをいくつか録音した。これがバンドの歴史における最初のステップと数年間を要約することができるだろう。記憶が正しければ、その後、1996/1997年まで多かれ少なかれ休みがあった。そして、新しい時代とラインナップが形成されはじめた。
Q. はじめて聴いたデスメタルのアルバムは何でしょう?
Nicklas:
当時(?)何がデスメタルと定義されていたかと同様に、言うのが難しい。Hellhammer、Possessed、Slayerなどのバンドを聴いたことがあるね。でも、友達がDeathの『Scream Bloody Gore』が出た時に買ってきたのを覚えていて、それは本当にデスメタルだったんだ!そして80年代の終わりには、デモやコンピレーション・テープを交換したり、ファンジンを買ったりするようになった。
Q. Runemagickの影響にBathoryが大きく関わっていることは知っています。それを踏まえて、Runemagickがブラックメタルやヴァイキングメタルに進まなかったのはなぜなのでしょうか?
Nicklas:
俺もRobertもとても熱心なBathoryのファンで、当時リリースされたすべてのアルバムをよく聴いていた。これはアルバム『Hammerheart』がリリースされた時も同様だ。最初の頃はもちろん暫定的なもので、いくつかのバンドからの多くの異なる影響をミックスしたんだが、その中でもBathoryは大きな影響を受けたな。この初期の時期に歌っていたのはRobertで、もちろん彼の歌い方はQuorthonから多くの影響を受けている。90年代後半に俺がヴォーカルを担当するようになってからは、より「クラシック」なデス・ヴォーカルになった。実際にBathoryのカバーを何曲かリハーサルしたよ。「Call From the Grave」という曲でカセットに録音したものがあるのを覚えている。でもRunemagickがアルバムをレコーディングするようになってからは、デスメタルの方向性が強くなって、よりヘヴィで少しスローなリフが多くなっていったな。
Q. Runemagickのスタイルは非常にダークでヘヴィですが、視座に富んでいます。リフ一つ聴いても、響きが美しいです。音作りのイメージは作品毎にどこから湧き出るものでしょうか?
Nicklas:
うまく説明できないんだよな。インスピレーションやクリエイティビティが自然に湧いてくるんだ。それからもちろん、その背景にもインスピレーションがある。特に若い頃に聴いたものから。意図的にやっていなくても、俺は確実にそれに彩られている。それから、長年やっているから、自分なりの小さなスタイルが出来上がるんだ。
Q. 『Resurrection in Blood』は人気のあるアルバムです。「Death Collector」にはネオクラシカルなギターが聴けたりしますよね。このアルバムは特にメロディックな側面が目立ちます。これは、あなたの音楽のルーツ(特に伝統的なヘヴィメタル)を掘り下げる、というような位置づけで合っていますか?
Nicklas:
ある程度、メロディックな部分やリフなどの要素は昔からあったんだ。個人的にはCandlemassのような壮大なドゥームメタルに非常に弱くて、メロディや雰囲気を重視することが多いんだ。『Resurrection in Blood』に関しては、俺自身も久しぶりに聴いたが、確かにあのアルバムの方がメロディックな部分や壮大な部分が多いね。
サウンド面では、少しダーティーにしたかったから、ギターにファズペダルを使って実現しようとしたが、これは少し違ったかもしれないね。少なくともその当時、俺たちのジャンルでは。
だが-答えをまとめると、俺は伝統的なヘヴィメタルよりも、ヘヴィで壮大なドゥームメタルに影響を受けてきたし、今も受けていると思うよ。だがLeifやCandlemassはもっとヘヴィメタルに影響を受けていると思うから、言ってみれば、異なるスタイルを通して影響を受けていることは確かだよ。
Q. 『Resurrection in Blood』以降のアルバムは極端にヘヴィでダークな方向に向かいました。メロディーも『Moon of the Chaos Eclipse』や『Evoked from Abysmal Sleep』では妖しい雰囲気になっています。こういった路線に振り切った理由はありますか?
Nicklas:
発展というんだろうか、(君は)常に文章を発展させているな。俺の中では大きな劇的な差はないよ。もちろん、アルバム『Moon of the Chaos Eclipse』は、もしかしたら少し実験的な作品かもしれない、ということは認めざるを得ない。
だがそれは、アルバム全体を1回の週末でレコーディングしたからなんだよ。事前に書いていたのは半分くらいで、残りは「その場」で書いて、ジャムってレコーディングしたんだ。だから、曲の素材が少し必要以上に目立つものもある。『Evoked from Abysmal Sleep』は、他の多くのアルバムと比べると、より基本に忠実でシンプルな作品かもしれないが、いくつかのメロディーが際立っているよ。
Q. Runemagickはスウェーデンのデスメタルでも、古くから君臨し続けていますよね。長年シーンを見ての変化は感じますか?また、最近のデスメタルバンドによる、オールドスクールデスメタルの復権にはどう感じているのでしょう?
Nicklas:
流行には流行がある、懐かしいものにもな。それに直接反対することはないよ。バンドは自分たちが望むものを作り、演奏することができる。カセットテープのデモやファンジンの時代からインターネットの時代、そしてセルフレコーディングや音楽リリースが簡単にできる時代へと、もちろんシーンは何年もかけて大きく変化してきた。少なくとも作品を発表するバンドは増えたと思う。リリースは常にあちこちから噴き出している。
Q. 曲を書く時、Runemagickはジャムりながら構築するタイプですか?それとも綿密にリハーサルを重ねてレコーディングするタイプですか?
Nicklas:
以前は一緒にジャムをしたりリハーサルをしたりしていたんだ。でも今は、曲の核や骨格を作るのはほとんど俺で、あとは他の人からのインプットやレコーディング・セッションでの調整もある。もちろん以前はもっと楽しかったんだが、ドラマーが遠方に住んでいたり、彼の他のバンドであるKatatoniaでとても忙しかったりといった理由で、最近は実質的に難しくなっているね。それから聴覚にも問題があるから、以前のようにリハーサルをすることはない。
Q. Runemagickは2017年に復活しましたが、何か契機となる出来事はありましたか?
Nicklas:
Daniel(Kill-Town Death Fest)のおかげだな。彼は「俺のフェスでライブをするべきだ」と主張し、最終的に俺たちはイエスと答えた。その頃、俺はすでにRunemagickのスタイルで少し書き始めていたから、新しい曲を書いてレコーディングするのもいいんじゃないかと思ったんだ。
Q. Runemagickはライヴを頻繁にするバンドではない印象です。理由はありますか?
Nicklas:
全くその通りだよ、それほど頻繁にライヴをやっているわけではない。
ほとんど小さなライヴとフェスティヴァルにたまに出る程度だな。90年代にはツアーをやって、もう少し頻繁に演奏していたが、それ以降はあまりしていない。それから、前述の通り、聴覚に問題があるから、今は残念ながら生ドラムのライヴは受け付けないんだ。今後、何か不思議な形でうまくいくといいのだが。
Q. メタル以外の音楽からの影響はありますか?好きで聴く作品があれば、教えて下さい。
Nicklas:
ダーク/インダストリアル・アンビエント、クラシック音楽、ノワール・ジャズの中で他のバンドやスタイルを聴くこともあるよ。例えば、Son of Seth(ドゥーム/ドローン/アンビエント)、Raison D'etre(ダークアンビエント)、Erik Satie(クラシック)、Michael Arthur Holloway(ノワールジャズ)などなど...たくさんあるな。
Q. フェイバリットアルバムについて教えて下さい。(これはメタルで)
Nicklas:
この質問にはいつも答えるのが難しい。たくさんあるし、その日の気分にも少し左右される。
好きなアルバムの一枚はCandlemassの『Epicus Doomicus Metallicus』だな。
Q. 日本に来たことはありますか?個人的には、Runemagickのライヴを日本で観たい気持ちがずっとありますね。
Nicklas:
ミュージシャンとしても観光客としても行ったことがないんだが、ぜひ行ってみたいんだ。息子の一人が数年前に行ったんだが、本当に良い経験だったと言っていたよ。
Q. 日本のファンや、これからRunemagickに触れるリスナーにメッセージを下さい。
Nicklas:
昔からのファンも新しいファンも、俺たちの新しいアルバムを気に入ってくれることを本当に願っているよ。そして、いつか必ず日本を訪れたいね。インタビュー、ありがとう。
Runemagick:
スウェーデンのヨーテボリで、1990年頃結成。当初はNicklas "Terror" Rudolfssonのソロプロジェクトだったが、徐々にメンバーが固まり2000年頃に現在のラインナップに固定される。90年代は精力的にライヴ活動をしていたが、2007年~10年ほど活動休止。2017年に復活し、2018年には復活作となる『Evoked from Abysmal Sleep』で健在ぶりを示した。デスメタルを基軸に、ドゥームメタルを盛り込み、薄暗い叙情も聴かせるドゥームデスを聴かせる。DismemberやGraveらに並ぶスウェディッシュデスメタルの古参バンドの一つ。ドラムのDaniel MoilanenはKatatoniaのドラマーとしても有名。2023年には4年ぶりとなる待望のアルバム『Beyond the Cenotaph of Mankind』をリリースする。
現在のラインナップは、
Nicklas "Terror" Rudolfsson(ヴォーカル/ギター)、Jonas Blom(ギター/ドラム)、Emma Rudolfsson(ベース)、Daniel Moilanen(ドラム)