むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

「傑作!」を連発するレビューブログを目指しています。コメントは記事ページから書込・閲覧頂けます。

2022年間ベスト41枚




今年も年間ベストの季節ですね。
レイアウトでこういう画像にしたかったので、中途半端な数ではありますが、41枚選出しました。
では、お楽しみください。




Ab·est - Molten Husk
[Post Metal/Sludge]

立ちはだかる全てを抑えつけ、踏み砕く重圧感と野生的な衝動は、まさしくスラッジの真髄。そこにシューゲイザーに通じる幻惑的なギターを織り込むことで、一風変わった個性を発散している。やや乾いた音作りの影響かスロウパートに砂塵がまとわりつく様に、スラッジの手練れの風格が備わっていることがわかるだろう。静寂パートはあくまでスパイスであり、ハードコアの衝動性の強いスタイルに重きを置かれていることがわかるため、一聴して難解なイメージは浮かばない。汚泥に足を取られる鈍重さも一瞬で蹴散らす豪快さは、いっそ心地好いほどだ。擦り潰された肉片と血糊がそこかしこに散らばっているような風景が想起されるだろう凶悪な一枚。
Abest 'Molten Husk' Music Video - YouTube







[Alexandros] - But wait. Cats?
[J-Rock/Alternative]

ビートロックの系譜にも位置づけられる華やかなギターロックを主軸に聴かせるスタイルは変わらず。ドラムの勇退に関わるメンバーチェンジの影響もあってか、非常に風通しのいい、初期衝動を感じられる作品に仕上がった。居住まいを正すピリッとした攻撃性もしっかり健在。川上洋平の艷やかでクリアな歌声もさることながら、「閃光」に顕著な、ソリッドで身体が前のめりになる疾走感のあるキャッチーなロックナンバーを書かせたら当代随一ではないか。そんな感慨に胸が熱くなるも、優しくクールダウンを促す「空と青」といったブレイクを設ける辺り、中堅からベテランに差し掛かる気配りが伺える爽やかな一枚。
[Alexandros] - 閃光 (MV) - YouTube







Amateur Hour - Kr​ö​kta Tankar och Br​ä​nda Vanor
[Shoegazer/Industrial/Noise/Falk]

世界が崩壊した後、朽ちたモーテルや廃墟に鳴り響く退廃的で甘美な音楽。その感覚を一聴して味わった。プリミティヴな衝動を押し込んだような、わざと歪ませて劣悪に聴かせるギターノイズ。スウェーデンシューゲイザーWestkustのJulia Bjernelindを擁するこのグループの奏でる音楽は、シューゲイザーやインダストリアルの意匠を凝らしているが、美しいフォークミュージックである。フォーク特有の朴訥な優しさはあまりなく、ゴシックロックにも連なる耽美さや、残響の背後でうっすら揺らめくようなヴォーカルの儚さが、まさしくポスト・アポカリプスのようだ。グズグズに融解したドラムは、時折プリミティヴブラックメタルに接近した凶悪なドラムを披露するが、あくまで基本はノンビートの聴き心地だ。灯りを落とした暗闇や人の残滓が漂う廃墟で、孤独と向き合いながらゆっくりと堪能したくなる一枚。
Amateur Hour - Feel My Loneliness - YouTube







ARALLU - Death Covenant
[Black Metal/Death Metal]

熱砂の灼熱とオアシスの冷気が全身を包むような音像に舌を巻くだろう。戦禍の只中に生まれ、常に緊迫感が傍にあったことによる、威圧感すら体現するような鬼気。Nileに通じるエキゾチックなメロディーを演出するのは、ギターではなく民族楽器サズ。涼やかで清廉なサズの音色を、熱気迸る演奏に組み込んだ時、他に代替しようのないスタイルへと変貌するのがありありとわかる。これは確かにブラックメタルを彼らなりに表現した、新しい形かもしれない。本作はデスメタル色も強いが、染みついた民族音楽の香りが個性を浮き彫りにしているのも、25年の道程の重みがずっしり腹に溜まる仕様だ。彼らの活動は、常に思想や闘争が傍らに存在していたそうだが、それらへの悲哀や諦念を血肉として昇華し、己のアイデンティティを探り当てるような神秘的な一枚。
Arallu - Empire of Salt - YouTube







明日の叙景 - アイランド
[Post-Black Metal]

まだ今ほど酷暑ではなかった頃の「日本の夏」の薫りを強烈に感じる。90年代中期〜2000年代にかけてアニメや美少女ゲームを席巻した「セカイ系」という概念や、ヴィジュアル系ロキノン系といった日本のロックからのフィードバックを吹き込むことにより、日本的な独特なポストブラックメタルへと昇華した。ただし、セカイ系の意識的な発露というよりは、メンバーの肌に馴染んだものの提示や再確認といった感覚が色濃く、ある意味で新しい世代の土着性の発現といったイメージを持つだろう。オタクを土着文化と解釈できる可能性や素養を感じられた。不思議とマクロス的ディーヴァ感の漂う踊れるブラックメタル「歌姫とそこにあれ」や、開放的で爽やかな心地に酔える「ビオトープの底から」といった曲は、その極致だ。ポストブラックメタルのトレンドの一つでもある、夏という空気を存分に吸い込める一枚。
Asunojokei - Chimera [Official Lyric Video] - YouTube







Au Clair de Lune - Mysticism of Ecstatic Communion
[Post-Black Metal]

「月」をテーマにしたイタリアの俊英による新作も、変わらず月に照らされている。コンスタントに活動しており、本作ではエクスタシーにおける月の満ち引きの神秘をテーマに敷いているようだ。本作のレコーディングも、Moonlight Studioだ。順調に美しさを磨いてきたが、新しい世界観はより美しく仕上がった。茫洋とした、されどただただ麗しいトレモロは、魂の流す涙のよう。プリミティヴなプロダクションに、ブラックメタルとしての矜持を感じられるかもしれない。身を切るような絶叫も、より孤独感を強く感じるパーツとして機能している。ジャケットのように星も照らさない夜の海あるいは湖にぽっかりと浮かんだ月のような一枚。
Au Clair de Lune - Moonlight Romanticism - YouTube







Besna - Zverstvá
[Post-Black Metal]

冷たくも可憐なメロディー、リズミカルに跳ねるドラム回りが耳に残るスロヴァキアの新星。可愛らしいカバーアートも目を引くだろう。出発点がデスコアやDjentのバンドらしく、そこかしこに名残が存在しており、KardashevやThe Ember, The Ashといったバンドとの共通項も見出だせる。衝動的な絶叫ヴォーカルが主軸だが、雨音など自然音のサンプリングや、繊細でメランコリックなトレモロ、緩急を使い分けた展開と相俟って、ダイナミックな視界の広さを体感できる。天に向かってたなびくようなギターの美しさを堪能できる一枚。
Besna - Zverstvá (Official Video) - YouTube







Black Magnet - Body Prophecy
[Industrial/Hardcore]

昨今、インダストリアルと名ばかりのバンドが散見される界隈において、独特の金属的な鳴りをこれでもかと突きつけてくるインダストリアルの新星。Foetus、Godflesh、Pitchshifterなど往年のバンドを想像させる音像にほくそ笑むファンも多かろうが、端々にポストハードコア的な瞬発力も垣間見える辺り、今を生きているバンドなのがしっかり伝わるだろう。インダストリアルの歴史は長いが、懐古趣味ではない。ノイジーなダウンパートの主張の強さやハンマービートの圧が非常に心地好い。囁きとスクリームの背徳的な歌も加味され、30分に満たない時間が一瞬で過ぎ去る一枚。
BLACK MAGNET - Floating in Nothing (From 'Body Prophecy' LP, 2022) Official Video - YouTube







Blood Command - Praise Armageddonism
[Pop Punk/Screamo/Emo]

昨年から今年にかけて、ポップパンクが復権しているのは記憶に新しい。超メジャーのAvril Lavigneやヒップホップ畑からMGKやYungbludといったアクトがポップパンクへルーツ回帰したことも象徴的だろう。このノルウェーの中堅Blood Commandは、その潮流を後目に爪を研ぎ、しのぎを削り、貫き通した結果として本作を投下した。シンプルな疾走感や、冷めた佇まいのNikki Brumenから放たれるヒステリックなスクリームは、まさしくスクリーモとポップパンクの芯を聴かせる。「Saturday City」のキャッチーさはどうだ。一聴して胸を掻き毟る甘酸っぱいメロディーもたまらない、青春を感じさせる溌溂とした一枚。
Blood Command - Nuns, Guns & Cowboys (Official Video) - YouTube







Breaths - Though life has turned out nothing like I imagined, it is far better than I could have dreamt.
[Blackened Doomgazey Post Metal]

「ブラッケンド・ドゥームゲイジング・ポストメタル」と標榜する通り、ドゥーム由来の重苦しいテンポ感と天へ飛翔するような伸びやかなメロディーが印象的なアルバム。苦渋を舐めるようなグロウルに反して、クリーンヴォーカルはエモのように爽やか。やや散漫だった前作を徹底的にブラッシュアップし、透き通るようなメロディーの美しさにフォーカスした印象だ。そのため、前作の約半分とショートサイズになったが、物足りなさは一切ない。ここまでメタリックな意匠を施しているのに、Metallumには掲載されず、何と難しい世界なのか。きらびやかな浮遊感と、大地に抑えつけられるような閉塞感を同時に味わえる一枚。
BREATHS - The Patriarch **OFFICIAL VIDEO** - YouTube






Coby Sey - Conduit
[Hip-Hop]

呪術的な声色と酩酊感強めのビート、インダストリアルに接近したノイズの意匠と、堂に入ったパフォーマンスを存分に聴かせてくれる。ヒップホップと言えど、流れるようなフロウよりもポエトリーリーディングのような畳み掛け、Saul Williamsの後継者的な佇まいを感じた。ノイズで斬りつけるような切迫感や変則的なリズムには、グライムやダブステップに近いものがあるし、あからさまにポストパンクに寄せている部分もある。特に「Night Ride」の軽やかさには、ライヴアンセムになり得るポテンシャルを感じるだろう。陰鬱な残響に気が滅入るような迫力を叩きつけてくる、暗く静謐な雰囲気に反して暴力的な一枚。
- YouTube






Courting - Guitar Music
[Rock]

破壊的に図太いビートで幕を上げる本作は、太いベースと悩まし気なヴォーカルを主役に据えた不思議なロックアルバムだ。『Year Zero』期のNine Inch Nailsを露骨に感じるし、物憂げな雰囲気もある。「Jumper」に顕著だが、全体的には極めてベーシックなブリットポップの系譜に存在する聴き心地だ。それは歌の絶妙な節回しだったり、そもそものベースラインの作り方だったり。初期のThe HorrorsやHMLTDに通じる大胆不敵さを感じるのも、その要因かもしれない。タイトルに反してわかりやすいギターロック然とした音作りではないのに、ギターロックだとしか言いようがない一枚。
Courting - Famous (Official Video) - YouTube






Demi Lovato - HOLY FVCK
[R&B/Hard Rock/Pop Punk]

歌のうまいシンガーが真っ向からポップパンクとハードロックに取り組んだ結果、強靭な快作に仕上がった。普段の艶やかな歌い回しも健在だが、ドスの効いた歌声が本作には似合っている。少しゴシックの薫りを漂わせたダークなギターには、これほど強い声でないと立ち向かえないというような、シンガーとしてのプライドも感じるだろう。疾走するキャッチーな「Substance」には、近年のAvril Lavigneに通じるものがあるし、「Eat Me」にはPretty RecklessやQueenAdreenaが如きダークで耽美な攻撃性もある。R&Bで磨き抜いた歌唱力が、驚くほどハードなロックに馴染んだ一枚。
Demi Lovato - SUBSTANCE (Official Video) - YouTube






DIR EN GREY - PHALARIS
[Rock]

バンド自ら「特濃」と言わしめる、たゆまぬ活動で常に一線を走り続ける王者の風格。バンド25年の集大成と呼ぶに相応しい、難解さと馴染みやすさを煮凝りのように凝縮した世界観。内罰的な痛みと絶望を描いた前作よりも、はるかに救いがない。音作りも彼ららしいアグレッションは残されているが、アコースティックギターの鳴りの清廉さが主張しているのが嬉しいところ。特に静かな場所で聴くと、高音に抜ける残響の美しさが耳に残るだろう。儚さの中にある凛とした力強さ、これがどの曲にも存在しているが、「13 」や「響」「御伽」といったミドルの曲には顕著だ。変幻自在のヴォーカルも、近年では最も暴れ狂っているのも本作のポイントの一つだろうか。ただし、これまでのように全ての曲でそうではなく、要所要所に絞ることで、より存在感を示している。繊細な筆致による過不足ない構成力も、作家性の高さを存分に示している一枚。
DIR EN GREY - 「The Perfume of Sins」[11th ALBUM『PHALARIS』収録] (Promotion Edit Ver.) (CLIP) - YouTube






Dreamtigers - Ellapsis
[Post Rock/Emo]

歌物ポストロックとして、破格の完成度を誇る。その裏にメンバーのパーソナルな難題が横たわっていることは、この力強い演奏からは与り知らない。ただ、彼らは苦悩を苦悩らしくセンチメンタルに描こうとはしなかった。じめじめとしていないのだ。抜けのいいドラムや、広がりのあるギターの鮮やかさに、ほんの少しメランコリックなメロディーが乗る。穏やかで優しいエモーショナルな歌声にも、このメロディーは非常にマッチしているものだ。シューゲイザー由来の甘美さも爽やかさの一助となっている。取り立てて音楽的に真新しいものはないが、ただただ強靭な演奏ほど強固なものはないと確信させてくれる一枚。
Dreamtigers - "For Sally" (Dracula Live Session) - YouTube






Drudkh - Всі належать ночі (All Belong to the Night)
[Black Metal]

神秘性を堅持する秘匿主義を貫くウクライナブラックメタルの覇者。ロシアのウクライナ侵攻によるアイデンティティの破壊への抵抗という側面もあろうが、自国に対する誇りを真っ向から歌い上げる、近年でも最もダイレクトな作品に仕上がった。Drudkhと言えば、独特の哀感を湛えたメランコリックでエモーショナルなトレモロがトレードマークだが、本作でもしっかりと根を張り、息づいている。また、静寂パートでチラ見せするジャジーな要素は、同郷の後輩White Wardにも連なる要素だ。また、目立つポイントはライヴ感を意識したような録音のドラム。この豪快で生々しいスネアやバスの響きの影響で、ドライヴ感を増している。悲嘆に暮れるよりも、憎悪と義憤を感じるレジスタンスとしての主張も色濃い一枚。
DRUDKH - "November" (Official Song Premiere) 2022 - YouTube






Eldprov - Rift
[Melodic-Death Metal/Deathrash]

決して華々しいメロデスというわけではない、スウェーデンの新鋭による初フルレングスは、質実剛健という言葉がよく似合う。ブラックメタルデスメタルから参照した冷たいトレモロや、スラッシュメタルの鋭利さも込み込みで、メロディックデスラッシュとしても楽しめる。疾走感は削がないが、一辺倒ではない構築力も光る。フラッシーなギターソロをフィーチャーした華のある場面も見受けられ、これからの展望も存分に感じられるだろう。少し高めの噛みつくようなグロウルの迫力も申し分ない。余剰な贅肉を削ぎ落とした、これぞメロデスと膝を打ちたくなる一枚。
Eldprov - Until Nightfall (Official Lyric Video) - YouTube






Exocrine - The Hybrid Suns
[Technical-Death Metal]

開幕一秒、天へと飛翔するような気高いギターに心を掴まれる。立体的に縦横無尽に駆け回るリフやドラムに、聴く者が振り落とされないようしがみつかなければいけないほどのスピード。数秒も経てば展開が変わっていく技術の高さもまるで嫌味がない。特に「The Hybrid Suns」にはMuseにも接近したような、スタジアムの広がりが感じられる。それほどキャッチーにも関わらず、情け容赦ない残虐なデスメタルのアグレッションも手抜かりなく、獣のように獰猛なグロウルは五臓六腑を掴み引きずり出されるようだ。華々しいコーラスも相俟って、テクニカルデスメタルの未来を垣間見られる一枚。
Exocrine - Dying Light (Official Video) - YouTube






Final Light - Final Light
[Post Metal/Darkwave/Dark Ambient]

欧州エクストリームメタル界隈では人気のエレクトロアクトPerturbatorと、スウェーデンのポストメタル重鎮Cult of Lunaのギター/ヴォーカルJohannes Perssonによるコラボレーション。一過性のもので継続はないそうだが、ダークウェイヴの透き通った暗黒感に、スラッジの重苦しさや厳つい咆哮といった要素が合致する素晴らしい作品だ。ギターよりもシンセサイザーの音色が全面に出ているため、Perturbatorのファンにもうってつけだろう。透明度の高い電子音は、ダークアンビエントの装いも濃い。ここまで振り切ったエレクトロニックなヘヴィネスは類を見ないが、90年代インダストリアルの名残も感じる。これきりで終わるにはもったいない、透徹した冷気と真綿で締めつける圧殺感が癖になる一枚。
FINAL LIGHT (Perturbator X Johannes Persson) - Final Light - YouTube






Graftvinir - Tunes of Sitra Ahra
[Melodic-Death Metal]

寒々としたトレモロが身を切りつける、ジャケット通りのメロディックブラックメタルを聴かせる。狼ジャケのブラックメタルに、外れはないのである。現在は二人組となっているが特にパートなどを明かさない秘匿主義は変わらず、コンスタントにシンプルなブラックメタルを追求する安心感。本作も基本は疾走がメインで、新月の森の闇を狼が駆け抜けるようなアグレッション、冷たく邪悪な叙情が持ち味だ。冷涼なトレモロピッキングも冴え冴えと光っている。ブラックメタルが好きならば、大きく外れることはないだろう。聴いていると、どこか遠くで遠吠えが木霊している錯覚に陥る一枚。
GRAFVITNIR Demon Wolf - YouTube






灰野敬二+Sumac - Into This Juvenile Apocalypse Our Golden Blood To Pour Let Us Never
[Post Metal/Noise]

本邦最高峰のアヴァンギャルドミュージックの帝王と、ポストメタルのスーパーバンドとも言われるSumacによる幾度目かのコラボレーション。インプロヴィゼーションに近い感触のセッションに加えて、自由気ままにのたうち回る灰野敬二をSumacが御している様が目に浮かぶようだ。乱打されるソリッドなドラムや圧の強いノイズも満載だが、メランコリックでヒプノスティックなギターの美しさが耳に残る。「何かを知ろうとすることなんてもうやめろ」という叫びは非常に重たく、何者をも寄せつけない孤高さがある。野放図に見えて、非常に精緻に設計された音が詰め込まれた一枚。
When logic rises morality falls Logic and morality in Japanese are but one character different - YouTube






春ねむり - 春火燎原
[Punk/Poetry/Riot Grrrl]

どれだけ怒りに満ちてようとも、本作の根幹に横たわっているのは愛でしかない。強めの主張を下支えするのは、ポストブラックメタルやポストロック、シューゲイザーオルタナティヴメタルといった圧の強いマテリアルだ。それら攻撃的なパーツを、確固とした意志の下、掌握し、春ねむりの世界観として提示することに成功している。これは、彼女の主張に全面承服せずとも、足を止めてしまうほどの強さがある裏付けになっている。ただ、本作はどれだけ義憤に渦巻いていても、祝祭的なムード色濃い生命賛歌「生きる」に集約していく見事な構成で終わる。日本のライオット・ガールはこうあってもいいのではいかと思わせるに足る、アンセミックな一枚。
春ねむり HARU NEMURI「生きる / Ikiru」(Official Music Video) - YouTube






Hexis - Aeturnum
[Blackened-Hardcore]

五臓六腑に焼きごてを当て、捻じ伏せる暗黒的で破壊的なハードコアとブラックメタルの融合。デンマークコペンハーゲンのHexisによる久方ぶりの新作は、いささかも揺らいでいない鬼気迫る作品だ。プロダクションはやや向上し、冷徹さに輪をかけている。独特な、高速ベルトコンベアを思わせるリフも健在、変わらず呪詛を撒き散らすヴォーカルのへばりつくような迫力も変わらない品質で届けられる。みっしりと詰まった音の粒に、神秘的なコーラスを重ねたり、開放的なメロディーパートを設ける辺り、新味を加えてきたのも、嬉しいところ。貪欲な探究心と貫禄すら漂わせてきた風格に、否応なく平伏する一枚。
Hexis - Nunquam (Official video) - YouTube






Imperial Circus Dead Decadence - 殯――死へ耽る想いは戮辱すら喰らい、彼方の生を愛する為に命を讃える――。
[Extreme-Black Metal/Doujin Music]

DIR EN GREYの微笑ましいパロディも幾星霜、やりすぎなほどの派手な展開を盛り込み、以前とは全く別次元のエクストリームメタルとしてキメてきた本作。アニメにも連なる物語をベースに敷き、シンフォニックブラックメタルや、メロデスメタルコアヴィジュアル系といった要素を惜しげもなく、これでもかと詰め込んでいる幕の内弁当。いや、二郎系かとも言わんばかりの特濃ぶりである。Sound Horizenや陰陽座が過ぎるのも完全に狙いだろう。70分超えというボリュームの重量を感じさせない疾走感と押し引きの粋を極めた構成も素晴らしい。全曲で口ずさめるほど哀愁を感じるフレーズが耳に残る、絢爛豪華そのものの一枚。
Imperial Circus Dead Decadence - 獄 (Official Music Video) - YouTube






Kee Avil - Crease
[Experimental/Pop]

妖艶さ漂う歌声も特徴的だが、孤独感とコミュニケーションの断絶を強く意識させるサウンドデザインが耳に残る。ダビーで太いベースラインだったり、細切れのように吹き荒ぶビートだったり、不穏さを煽るノイズだったりと、陰鬱な彼女の世界観はMassive AttackブリストルサウンドやLowらスローコアに通じるものがある。熱狂せず低熱のまま独白するような歌にBillie Eilishを想像する向きもあろうが、Nicolas JarrあるいはAGFの後継者のような感想を持った。ノンビートでギターの弾き語りも多く、残響に気を配った凛としたフォークといった風情もある。徹底して静謐を描いているが、差し込まれるディストーションによる不穏さが、狂気と危険性を発散する一枚。
Kee Avil | "See, my shadow" [Official Video] - YouTube







Kvaen - The Great Below
[Black Metal]

Jacob Björnfotの独りバンドだが、客演も華々しいスウェーデンの新鋭による2作目。元々からメロディックすぎないメロディックブラックメタルだったが、本作でより濃密に磨き上げられ、極上のメロディックブラックメタルに仕上がった。確かな推進力を与えるTommi Tuhkalaの力強いドラムもそうだが、「The Great Below」でJeff Loomisをフィーチャーし、凶暴なブラックメタルに華を持たせる大胆さも成功している。ハーシュヴォーカルのみで攻め立てる潔さ、矢継ぎ早に疾走曲を並べる豪快さや良し。ギターソロの叙情も胸を衝くだろう。ブラックメタル温故知新という言葉が似合う清々しい一枚。
KVAEN - The Great Below - feat Jeff Loomis (Official playthrough Video 2021) | Black Lion Records - YouTube






Lamentations - Passion of Depression
[Progressive-Death Metal]

艶っぽいメロディアスなギターを捻じ伏せるかのような、獣が如き蛮声の迫力。伸びやかで深みのあるクリーンヴォーカルの堂々たる振る舞いもあって、デスメタルOpethのような風格を漂わせはじめた作品に仕上がった。水のせせらぎのようなアルペジオで清涼感をもたらしたかと思えば、煮え滾るマグマに足を浸からせるアグレッションに、プログレッシヴデスメタルの醍醐味を感じられるだろう。スラッシーな刻みも、Deathへの憧憬が透ける微笑ましさもある。シンガポール出身で現在はアメリカへ拠点を移しているようだが、アジアのデスメタルの熱さや強靭さもしっかりある。情熱と熱気が聴く者の身体を自然と揺らし、熱くさせる一枚。
Lamentations "Prodigal" - Official Track Premiere - YouTube






Lunar Mercia - Leaving the Fragile Space
[Post-Black Metal]

短命で終わったイタリアのブラックメタルHavokのメンバーを擁する、英国バーミンガムの4人組による初フルレングスは、実に鮮烈だ。ConanのChris Fieldingがマスタリングを手掛けていることもあり、メタル然とした味わいも忘れていない。ゴリッとした低音の効いたプロダクションで、メロデスかと言わんばかりのイントロに被さる、福音をもたらすかのようなエンジェリックなコーラス。悪辣なグリムヴォーカルと合わさることにより、まるで天使と悪魔の対話を聴いているかのようなヴォーカルワークを体現している。雷撃のような生々しいドラムや強靭なリフによるアグレッションも忘れていない。この辺りは、Numenorean辺りを思い出して目頭が熱くなった。ブルータルな疾走感と、神聖なトレモロが目立つ独特の浮遊感といった聴きどころが多い構成力も冴えている。アンビエントタッチの、息を呑むような静寂も新鮮な驚きに満ちている。まるでEnigmaSigur Rósを聴いている厳かな心地を与える、祈りのようなクリーンヴォーカルは聴く者に厳かで敬虔な気持ちを抱かせるだろう。触れれば砕けそうな繊細さも持ち合わせている、新たな地平を見せてくれる一枚。
On the Veiled Road - YouTube






Massa Nera - Derramar | Querer | Borrar
[Post Rock/Hardcore]

ポストロックから吸い上げたような、柔らかく包み込むメロディーの美しさに反して、繊細で突き刺すような激情ハードコアの醍醐味。それだけでなく、00年代エレクトロニカへの憧憬が透けて見えるパートもぶち込んでくるのも侮れない。スラッジに接近した感触もある泥臭いダウンパートも強烈な重さを叩きつけてくるため、血反吐を吐くスクリームとの相性も抜群だ。トランスジェンダーであることを公表しているAeryn Jade Santillanの佇まいからSeeYouSpaceCowboyに重なるところはある。ただ、そういったキャラクターの強さとは関係なく、ただただ真摯な激情を迸らせる一枚。 
Massa Nera - Eyeless Faces (Official Video) - YouTube






My Useless Life - Bittersweet Agony
[Depressive-Black Metal/Post-Black Metal]

絶望感は和らぎ、じんわりとした美しさが漂うMy Useless Lifeの新作は、デプレッシヴブラックメタルからポストブラックメタルへの移行を試みているようだ。この辺りは、Ebolaの近作と通じるものがある。デプレにしては潔いバッキングと疾走感、クリアで重たさを感じるプロダクションと、聴きやすさを増しているのも見逃せない。言葉にならない絶叫をひたすらに振り撒いているのは、Unreqvitedとの共通項を見出だせる。「Locked Out」には、コロナ禍からの開放とそれに伴う人との軋轢への絶望という感想を抱いた。冴え冴えとしているが柔らかなトレモロも、人の弱さに寄り添うような一枚。
A Desolate Heart - YouTube






Myrvandrer - Salt
[Post-Black Metal]

ノルウェーの独りバンドだが、ドラムにHymirなる人物を起用しているため、ライヴ感の強さが魅力的な作品だ。プリミティヴなブラックメタルに接近した凶暴性も強いが、ジャズを参照したメロウパートや、Bathoryへのリスペクトを忘れないペイガン寄りのメロディックな要素もしっかりある。特に、サックスが艶を表現する「Tapets Generasjon」から線の細いクリーンヴォーカルと冷気漂うアンビエントが横たわる「Taiga」を経る頃には、徐々に従来型ブラックメタルを逸脱していく面白さがある。コーラスの透徹した深さがブラックメタルの荒々しさを、降り積もる雪のようにどんどん覆い隠していく不思議な一枚。
Morgendag (feat. Bizarrekult) - YouTube






Notturno - Obsessions
[Black Metal/Doom Metal]

どうやら解散したらしいイタリアのバンドの唯一作(現在は活動再開したのか、そもそものステータスが誤報かは不明だが活動している)。張り詰めた静寂に、滲むように暗黒が広がる音作り。ブラックメタルドゥームメタルがしっかり結びつき、時にシルキーな手触りすら感じるだろう。アトモスフェリックブラックに通じる広がりある空間の使い方に、囁き、絶叫、金切り声といった悲痛なヴォーカルワークが合わさる。そのため、精神を摩耗ささせるような聴き心地にデプレッシヴブラックに近い雰囲気も濃い。ゆったりしたテンポ感だが、ブラストビートを織り交ぜるなど、アグレッションの起爆剤自体は存在しているようだ。密室で膝を抱えてるような陰湿さと、妖艶なメロディーが蜜月を交わす一枚。
Notturno - Obsessions [Full Album] (Atmospheric Black Metal) - YouTube






Olli Hänninen and Sami Hynninen - Chambers
[Experimental]

様々なグループで活動する作曲家Olli Hänninenと、ドゥームメタルでは知る人ぞ知るシンガーSami Hynninenのユニット。継続性は不明だが、インダストリアル由来のダンサブルで重たく金属質のビート感覚や神経に障るノイズ、朗々と歌い上げたり悪辣な濁声を織り交ぜたり、常軌を逸するパフォーマンスで暴れ回るヴォーカルには、在りし日のFoetusを思い出すだろう。80年代のオリエンタルなメロディー感を出すキーボードやとぐろを巻くベースの太さも、トリッキーな楽曲構造にキャッチーさを吹き込む一助になっている。一筋縄でいかない、エクスペリメンタルの真髄に触れられる一枚。
Olli Hänninen and Sami Hynninen: XIV Chamber of Heart Digging (Official Audio) - YouTube






Rigorous Institution - Cainsmarsh
[Crust/Hardcore/Coldwave]

Amebixへの憧れを隠そうとしない黒々としたコールド・アナーコ・クラストを基盤にして、ブラックメタルやポストパンク、インダストリアルを注入した暗黒の世界観。と言っても、日も差さない暗闇というニュアンスはあまりなく、崩れて褪せたような暗黒を描いている。邪悪に特化したヴォーカルは完全にブラックメタルに寄せた趣もあり、激情感に乏しいのは確かだ。それが物足りないのかと言われれば全くそんなことはなく、この音にはこの声でないと合わないだろう。衝動性はあるが爆走主体ではなく、淡々と刃先を突きつけてくるような緊迫感がたまらない。冷たく悪魔的な叙情を沸々と煮詰めているような、闇鍋のような悍ましさが迫る一枚。
Rigorous Institution - Cainsmarsh (2022) [Full Album] - YouTube






THE SPELLBOUND - THE SPELLBOUND
[Dance/Rock/Pops]

朝焼けのような「はじまり」から、1日を終えて眠りにつく「おやすみ」に至るまで、極めて純度の高いポップなアルバム。小林裕介の世界観はこのバンドでも揺らぐことなく、日常と非日常の行き交い、在りし日常への感謝といったものを貫いている。それを漏らさず音として表現している中野雅之の描き出す音像は、ただひたすらに美しく躍動的だ。光へ解けたBOOM BOOM SATELLITESを探り当てるような感触も確かにあって、ファンには胸に迫るものもあるだろう。小林裕介のヴォーカルに、川島道行の後ろ姿が透けているような感覚もとても心地が良いものだ。濁りのない澄み切った美しさと、呼吸することの楽しさを日常の何気なさに寄り添わせる一枚。
THE SPELLBOUND『はじまり』 - YouTube






Sylvaine - Nova
[Post-Black Metal/Post Metal/Post Rock]

ノルウェーの才媛による4作目は、祈りのような「Nova」から、彼女の神秘的な佇まいが立ち昇るよう。Neigeの手から離れたことによって、よりSylvaineの芯が純化している印象だ。作を重ねる毎にヘヴィネスを増しているが、本作はただ激しくしているわけではなく、剛柔を絞ることで、より二面性を浮き彫りにした。「Mono No Aware」の悲壮感や「Nowhere, Still Somewhere」での牧歌的な雰囲気にも、様々な歌唱を駆使する声が溶け込んでいる。宙に音がたゆたう凛としたプロダクションの影響もあって、暴虐性にも美麗さが終始つきまとう。名前の由来である森の深さや、蝶の羽ばたきを想像する一枚。
SYLVAINE - 'Nowhere, Still Somewhere' (official music video) 2021 - YouTube






Vāmācāra - Cosmic Fires: The Enlightenment Reversed
[Death Metal]

複雑に入り組んだリズムアプローチと目も覚めるようなアグレッション、いかがわしさが充満した妖艶で邪悪なメロディーを特濃で浴びる快感。ハイハットの残響もしっかり拾い上げるプロダクションの明瞭さに呪術的な雰囲気が決して負けていないのは、彼らの空気が肌に染みついているからに他ならない。邪悪な神を召喚するかの如く、明確な意味を持つかのような歌い回しは祝詞のような神聖さもある。ToolやKing Crimsonからの影響も感じる奇妙な引っかかりを与えるリフはソリッドで、これも呪術的なニュアンスを与えてくるかのようだ。優美で妖しい色香と豪胆なアグレッションを存分に味わえる一枚。
Vāmācāra – Alchemical Symbolism (Official Video – Black and White Version) - YouTube






Vitam Aeternum - Revelations of the Mother Harlot
[Symphonic Rock/Progressive Rock]

優美で邪悪、紳士的な立ち振舞の反面、時折荒れ狂う粗暴な側面を見せる。基本はキーボードやピアノによるきらびやかなメロディーを聴かせるシンフォニックロックとプログレのハイブリッドだが、一瞬、ブラックメタルかの如き凶暴なアグレッションを差し込む驚きもある。「Veil of Isis」の主旋律をピアノソナタでリプライズとして聴かせる「Bardo Thodol」など、一貫したコンセプチュアルな構築も聴き逃がせない。様々な声にフォーカスを当てており、LeprousのEinar Solbergなどゲストも手抜かりない。スウェード地のように滑らかな音触りに油断して、邪悪に身を染められそうな危険性もある一枚。
VITAM AETERNAM - Bardo Thodol // Official Video 2022 // Crime Records & We Låve Rock Music - YouTube






Wiegedood - There's Always Blood at the End of the Road
[Post-Black Metal/Black Metal]

反復する恐怖と狂気。クラウトロックに通じる同じ小節の執拗な反復を極めることで頭がおかしくなりそうな緊張をもたらし、地下室のような閉塞感を持ったブラックメタルとして提示しているアルバムだ。前作までの長大で深淵を見せつけるような楽曲こそないが、破壊的なプロダクションに誘発された暴虐性は、「これは確かにWiegedoodだ」と実感できる貫禄を漂わせている。3部作に見られたOathbreakerに連なる雰囲気からは距離を置き、真正面からブラックメタルを構築しようとする心意気も感じるだろう。異様な速度と張り詰めたテンションによる緊迫感で、居ても立っても居られない感覚が充満した一枚。
WIEGEDOOD - FN SCAR 16 (OFFICIAL VIDEO) - YouTube






Without Waves - Comedian
[Chaotic-Hardcore]

速射砲のように歯切れの良いヴォーカルと切れ味鋭いリフの応酬から幕を上げる本作は、これまでの彼らとは完全に別次元へと到達した。マスコアに通じるソリッドで痙攣するようなリズム感を保持したまま、強靭な演奏で聴く者の顔面を張り倒すような圧の強さ。ブルータルなカオティックハードコアに持ち得る全てを全振りしているかと思えば、メランコリックなメロディーで感情に訴えかけるクリーンパートもあり、侮れない。情動を狂わせるほどの情報量や、変幻自在のコーラスワークには、ジャンルは違えどFaith No More辺りも思い出す。圧倒的にアグレッシヴな演奏とエモーショナルな叙情が立体交差し、聴く者に襲いかかる一枚。
WITHOUT WAVES - GOOD GRIEF (OFFICIAL VIDEO) - YouTube






Zeal & Ardor - Zeal & Ardor
[Post-Black Metal/Blues]

3作目にしてセルフタイトル、現時点で完成形と言えそうな作品を提示してきた。コンセプトでもある「ブラックメタル+ブラックミュージック」はより有機的に結合され、錬金術を模したロゴからわかるように、バンドひいてはManuel Gagneux自身の神秘を紐解くような音に仕上がっている。本作はそこにインダストリアルじみた要素や、ニューメタルと思しきフィードバックを取り入れることで、繋ぎ目の歪さをコーティングしている印象だ。クリーンヴォーカルにしても、Freddie Kingが憑依したようなブルースの滋味深さをも体現している。Manuel Gagneuxの視野の広さや分析力が決して難解でとっつきづらいものになっていないのも、バランスの良さを感じるだろう。キャッチーなのである。一風変わったエレメントを分析し尽くした後に見事に黄金へと変質させた素晴らしい一枚。
ZEAL & ARDOR - Death to the Holy - YouTube




▼所感▼

振り返れば、本当に、素晴らしいリリースに恵まれた1年だったと思います。
Nouns、Quadecaなどアンダーグラウンドから時代のマイルストーンになり得るポテンシャルを秘めた素晴らしい作品や、メジャーフィールドでも宇多田ヒカルやThe 1975といったアーティストの躍進も目立っていました。
特に、ジャンルを越境するような野心的な作品も数多く見られた年だったのかな、とは思います。加えて、足元を見つめ直すような、そんなアルバムもデスメタルを中心に見られたような気がします。
私の年間ベストはあくまで自分の流れを作ったということで、こういうラインナップです。
ですが、一応、今年はトップ9は決まっています。

Lunar Mercia
Amateur Hour
DIR EN GREY
Zeal&Ardor
明日の叙景
Drudkh
Blood Command
春ねむり
Final Light

というような並びになります。何となく、自分らしいかなと思います。
今年の個人的に一番大きな出来事は、やはり『ポストブラックメタル・ガイドブック』を出版したことです。
執筆期間が、結構ブログ更新しなくなった時期と被っていたので心配して下さった方もいたようで少し心苦しかったのですが、すごく楽しい1年半でしたね。
そういうこともあって、今年の年間ベストはポストブラックメタルも結構あります。
ガイドブックも手に取って楽しんでいただけると、非常に嬉しく思います。
そんなこんなで、コロナにかかったりもしたけど、今は大変元気に過ごしています。怪談ばっかり聴いていますが。
今年もわずかですが、来年もまた素晴らしいリリースが控えているはずなので、皆様体調にはお気をつけお過ごし下さい。
Twitterは廃気味なので、気軽にお話しいただければ幸いです。