むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Fetal Blood Eagle / Indoctrinate

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Fetal Blood Eagle / Indoctrinate



ベルギーとアメリカのメンバーからなるブルータルデスメタルバンドによる初フルレングス。



かつてCryptopsyのFlo MounierやOlivier Pinard、MegadethのDirk Verbeuren等が在籍していたSolium FatalisのJim GregoryとRyan Beeversを中心に結成したバンドで、リズム隊にはNecronomichristのLenny PattersonとKendall "Pariah" Divollが名を連ねています。
VoにはAbortedのSven de Caluwéを迎えた錚々たるラインナップ。
音楽スタイルはSolium FatalisよりもAbortedに近いグラインディングなブルデス。殺伐としていますが湿った猟奇的な雰囲気は薄く、Benightedにも共通項は見出だせます。
爆走するけたたましいドラムや高低縦横無尽に駆け回るVoが目立ちますが、流麗なギターを織り込んだり、腹に溜まるベースのドライヴ感とツボを押さえた楽曲はM-1“Necromorphic Illumination”から一貫していますね。加えて、爆走主体の野性味溢れる暴虐性を発揮していますが、理性で抑制するタメもきっちりあるのが素晴らしい。
グルーヴ感たっぷりの重たいリフと徐々にギアを上げていくドラムに荘厳さすら感じるM-2“Hate Fucked Face”、邪悪なギターメロディーに血反吐を吐き散らかすVoを乗せる重厚なM-3“Razorwire Communion”、Abortedを彷彿とする前のめりなコーラスワークと血湧き肉躍るギターとドラムの狂乱M-4“Caverns of Deformulated Flesh”、複雑に入り組んだリズムアプローチや重圧感ある刻みにスラミング染みたブレイクを織り込むM-5“Only Meth Is Real”と、息も吐かせぬブルータリティが堪能できます。
さらに重苦しさを増したリフのハーモニーに肉感的なドラムのキレがエグ味を増すM-6“Devoid of Corrosive Form”、小気味良さのあるブラストビートにエキゾチックなメロディーが乗るキャッチーなM-7“Abortion Dumpster Overload”、メロディーよりも無骨なリフレインでドライヴ感を押し出したグルーヴメタルとブルデスの中間にあるようなM-8“Injected Larvae of the Hive Mind”、作中最もドゥーミーなリフで横ノリを誘発する邪悪なM-9“Decompression Disembowelment”を経て、彼らの全てを注ぎ込んだ爆走から華麗なシュレッディングまでも披露するフィナーレに相応しいM-10“Cinder Block Suicide”まで、緻密に織り上げられたハイテンションなアルバムです。
力で押すマッチョイズムを感じさせながらも一辺倒に陥った感覚がしないのは、用意周到に配置された変化のさせ方が妙だということ。
手練れが集まったバンドだけに、老獪さを感じます。ですが、華々しさもあるギターの影響もあり、荘厳なカバーアートに似合う爽快な作品です。
Benighted、Aborted、Cattle Decapitationが好きな方はもちろんのこと、Immolation辺りがお好きな人にも薦められますね。



1. Necromorphic Illumination
2. Hate Fucked Face
3. Razorwire Communion
4. Caverns of Deformulated Flesh
5. Only Meth Is Real
6. Devoid of Corrosive Form ★
7. Abortion Dumpster Overload
8. Injected Larvae of the Hive Mind
9. Decompression Disembowelment
10. Cinder Block Suicide
(2022/Listenable Records)
Time/34:02


Score:9.0/10


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