むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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【インタビュー】Blankenberge


Photo Juri Vsivtsev | @jvimgs / Station Narva

ロシアの新進気鋭のシューゲイザー/ポストロックバンドBlankenbergeのインタビューを行いました。
受けてくれたのは、バンドのメンバー3人です。




Q:最新作『Everything』は素晴らしいアルバムでした。オーガニックで、全てが輝いていて。このアルバムのテーマはありますか?


Yana:ありがとう!このアルバムのテーマは、この困難な時期に楽観的になって、もし全てが当初の計画通りに進まないんだったら、何か良いことにエネルギーを向けようとすることだと思うわ。



Q.前作よりもサウンドプロダクションがクリアで、少しアグレッシヴな印象を受けました。意識的に差別化するように作ったのでしょうか?


Daniil:そうだね、よりコントロールされたクリアな音にしたかったんだ。



Q.そして、極めてドリーミーです。この美しさを表現するのに、苦労したことを教えてください。


Daniil:前はリハーサルで一緒に曲を仕上げていたんだけど、今回は全部自宅で曲を書いたことかな。


Yana: そうね、前2作と比べると、レコーディングのやり方が大きく変わったかな。ギターとヴォーカルはわたしとDaniilが自宅で録音して、ドラムとベースはSergeyとDmitriyがサウンドエンジニアと一緒に、わたしたち抜きで録音したの。どの曲もレコーディング前にリハーサルをせず、レコーディングが終わってからリハーサルを始めたのね。だから、わたしたちにとってはすごく変わっていて、チャレンジングなことだったわ。



Q.また、今作の最もうまく表現できたと確信できた部分はどんなところですか?


Yana:わたしは、タイトル曲の「Everything」かな。最初にデモとして録音してもらったときは、あまり強い音ではなかったのだけど、アルバムバージョンは完璧ね。


Dmitriy:僕は「No Sense」という曲だな。一番印象に残っている曲で、初めて聴いたとき、すぐに「これはヒットする」と思ったからね。



Q.私は「Fragile」が特に気に入っています。この曲の現実感の乏しい美しさは、バンドのどの部分から出てきたのでしょう?


Yana:アルバムは全て同じように作っているわ。つまり、Daniilがデモを作って、わたしが歌詞とヴォーカルのメロディーを作曲したということね。


Daniil:この曲のメインはヴォーカルで、特にエンディングの歌い出しかな。



Q.ここからはBlankenbergeの結成やはじまりについてお聞きします。どのような経緯でバンドがはじまり、シューゲイザーやドリームポップを表現しようと思いましたか?


Yana:わたしとDaniilがシベリアに住んでいたとき、遊び半分でシューゲイザーやポストロックのカバーを演奏していたの。その後、サンクトペテルブルグに移り住み、最高のベーシストとドラマーであるDmitriyとSergeyに出会い、彼らなしでは全てが成り立たなかった。Daniilは昔も今もバンドのメイン作曲家であり、わたしたちは彼の作るものが好きで、彼のアイデアを現実に実現させるために手助けをしているわ。


Daniil: ただ、ファズの曲を弾きたかっただけなんだ。その辺から始まったんだよね。


Dmitriy: 笑い話のような話で。僕はずっとギタリストになりたいと思っていて、Daniilのデモ音源を聴いたとき、すぐに「ぜひギタリストとして参加したい」と連絡したんだよ。でも、ギタリストはすでにいたからね。こうして僕はベーシストとなったんだ。当時は考えもしなかったことだけど、今は本当にこの楽器が好きだよ。



Q.Blankenbergeという名前の由来や意味を教えてください。


Daniil:ベルギーの北海沿岸にある都市の名前だね。



Q.あなたたちが拠点としているサンクトペテルブルクは、ブラックメタルも盛んですよね。特にポストブラックメタルのバンドが多くいます。彼らとの繋がりはあるのでしょうか?


Daniil:そうだね、Show Me A Dinosaur、Trna、Somnっていうクールな連中を知ってるんだ。同じレーベルに所属していたんだけど、彼らが素晴らしいレーベルに推薦してくれたんだよ。また、一度だけ一緒にコンサートに出演したこともあるよ。



Q.ロシアの音楽シーンはどのような感じですか?とても広いので、一つのシーンを挙げるのは難しいとは思いますが。


Yana:ここには、非常に異なるジャンルの音楽を演奏するバンドがたくさんいるわ。ロックのサブジャンルは世界中どこでも同じだけど、「ロシアンロック」と呼ばれるジャンルは、基本はアコースティックギターで歌を歌い、すごく意味深く、哲学的な歌詞を持つということを意味するのよ。また、ロシア語を使う歌手は、音は同じでも英語の歌とは音楽もジャンルも違ってくるわね。音楽において、言語というのはとても重要なものだと思うわ。


Daniil:ロシアのシーンは常に発展しているよ。前は英語で歌うバンドが多かったんだけど、今ではほとんどのバンドのシンガーがロシア語で歌っていて、世界中の多くの人が興味を持って聴いているね。


Dmitriy:この10年、ロシアの音楽シーンは光の速さで発展してきたね。それには、インターネットや音楽機材の発達が大きく貢献していると思う。今では自宅で、ヒットするようなアルバムを録音することができる。そしてこの10年間は、すでに他の国に存在するすべてのものに追いつこうと、全身全霊で挑んできたように思う。そして、近年になってようやく、Daniilが正しく指摘したように、ロシア語の歌手のグループがたくさん登場するようになった。また、英語で歌っていたグループが、ロシア語で歌を録音するようになったこともあるんだ。僕は、歌われる言語にいつも無関心だったんだけど、より深くトラックを理解し、経験するために、もちろん、それはロシア語でであることがわかったんだ。



Q.音楽的に影響を受けたバンドや作品はありますか?5枚ずつ、メンバーそれぞれ教えてください。


Daniil:ポストロックに一番影響を受けているよ。好きなアルバムはたくさんあるね。This Will Destroy You『Young Mountain』、Sigur Ros『Valtari』、65daysofstatic『The Fall of Math』、Mogwai『Hardcore Will Never Die, but You Will』、A Film in Color『To Scale a Mountain』、これらのアルバムが僕の音楽に最も影響を与えたと思う。


Yana: ポストロックも好きね。Sigur Rosというバンドは、その素晴らしいボーカルでわたしに多くのインスピレーションを与えてくれたわ。好きなバンドはMetricとPlaceboで、この2つにもかなり影響を受けたわね。


Dmitriy:好きなアルバムについては、時期によってそれぞれ違うので何とも言えないけど頑張ってみるよ。
1) Grazhdanskaya Oborona - Солнцеворот
2) Talk talk - Laughing Stock
3) Adorable - Footnotes 92-94
4) Kitchens of Distinction - Strange Free World
5) Red House Painters - Red House Painters I
6) The Cat's Miaow - Bliss Out, Volume 14: The Long Goodbye



Q.最後に、Blankenbergeが根源的に表現したいものは何なのでしょう?アートワークも含めてとても美しいですが、色々想像させる余地も感じます。


Yana:あなたが言ったように想像の余地があるのはとても良いことだと思う。こういうことだったのね。音楽には謎めいたところがあって、聴いた後に何か考えさせられるものがあるのが好きだから。アルバムのジャケットは、ジャケットに木をあしらったのは、ロックダウンの間、「みんな家にいて、同じ場所にずっといるべき、まるでその場所から動かない木のように」と考えていたときに出てきたアイデアなの。Daniilは、このアイデアをミニマルな絵の中に完璧に表現してくれたわ。


Daniil: 僕は、ギターノイズの中に普遍的な落ち着きと愛情を感じられるものを聴きたいんだ。曲の中でこの感覚を実現することはとても重要だね。そうであれば、曲はできているんだ!



Q.日本の方に、メッセージをお願いします。


Yana:日本ではライヴなど、どこでもマスクをつけているのがとてもいいわね(少なくともわたしはテレビやSNSの写真で見たわ)。日本人はとてもクールで、全世界のお手本になっているから。


Daniil:いつの日か、日本に行って演奏できることを心から願っているよ。


Dmitriy:日本は僕の旅行リストの最初の国なんだ。世界の状況が許せば、すぐにでも行きたいと思ってるよ。



Thank you for the interview!
Credits
Yana - vocals, Daniil - guitar, Dmitriy - bass.


Blankenberge are:Yana Guselnikova (vocals), Daniil Levshin (guitar, synth), Dmitriy Marakov (bass) and Sergey Vorontsov (drums)
2015年、ロシアのサンクトペテルブルクにて結成。ドリームポップやシューゲイザー、ポストロックをミックスしたスタイルで好評を博している。これまでに1枚のEP、2枚のアルバムをリリース。そして3枚目のアルバムとなる『Everything』を2021年リリース。


blankenberge.bandcamp.com


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