むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

「傑作!」を連発するレビューブログを目指しています。コメントは記事ページから書込・閲覧頂けます。

XIV Dark Centuries / Waldvolk

f:id:bluecelosia:20201013215626j:plain
XIV Dark Centuries / Waldvolk



ドイツのフォークメタル/ペイガンメタルバンドによる4作目フルレングス。


ペストが大流行した暗黒時代を跨ぐ14世紀を冠したバンドです。
9年振りの新作ですが、そのバンド名の由来からしてもフォークメタルの中でもだいぶシリアスに聴かせるスタイルは健在。
近しい存在で言えばEnsiferumやEquilibrium周辺の、極めて叙情的なメロディーを確かな速度と共に増し増しに聴かせるバンドです。
今作は、どことなくゲルマン大移動を下地に取り上げている印象で、“家”という意味のM-1“Heimwaerts”もどこか安息的な雰囲気を醸し出したインストであり、大陸を揺るがす太鼓の怒涛の勢いにかなりメロディックなフレーズを炸裂するM-2“Skogafulka”、暴虐的かつ尋常じゃないスピードで爆走するM-3“Svava”の序盤で、速いクサいメタルが好きな諸氏の胸に迫ると思います。
哀愁あるギターに剣戟のような金物が鳴り響くゆったりと物悲しいM-4“Firratan”、軽やかにブラストを踏みながら単音リフで叙情を演出するメロデス的なM-5“Atme Den Wald”、優美なストリングスを響かせて明瞭なリフでじっくり聴かせるどこか幽鬼的な雰囲気漂うM-6“Ich Bin Das Feuer”、月が水面に揺らめくような夜気に慟哭が木霊するようなM-7“Sunna”と、手抜かりなくメロディックな空気はますます高まっています。
優しげなコーラスに雄々しく浮遊感のあるリフが広がるヴァイキングなコーラスも楽しいM-8“Julenzeit”、丁寧に爪弾く勇壮なフレーズに小気味のいいコサックみたいなリズムがぶちこまれて爆走するM-9“Runibergun”、旅の終着が見えるような笛に合わせて男たちの歌声が雄々しいリフに雪崩るM-10“Bragaful”を勇猛かつ後世に残すような余韻あるインストM-11“Nott”で壮大な叙事詩を聴いた聴き心地で素敵ですね。
かなり曲幅は振れてはいますが、要所要所で気持ちのいい爆走を織り交ぜてくれるので、かなりメリハリの効いた作品です。
歌詞も英訳すると割と真面目なことを歌っていて、詩的な表現もちらほらあります。
この音が嫌いなメタルファンはそう多くないはずなので、お薦めしやすい力作ですよ。



1. Heimwaerts
2. Skogafulka ★
3. Svava
4. Firratan
5. Atme Den Wald
6. Ich Bin Das Feuer
7. Sunna
8. Julenzeit
9. Runibergun
10. Bragaful
11. Nott
(2020/Einheit Produktionen)
Time/ 44:54