むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Babylonfall / Collapse

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Babylonfall / Collapse


フィンランドメロディックデスメタルバンドによる初フルレングス。



派手さの少ない堅実な演奏ですが、筋肉質なリフの応酬と冷たく乱舞する儚さを感じるメロディーが目白押しな作品です。
基本的に一気に爆走したりといったことはなく、ミドル主体のじっくり聴かせるタイプで、時折心地好く疾走します。
この押し引きは絶妙で、加速しない部分でもリフの刻みが想像以上の体感速度を与えてくれるので、実際のリズム以上に走っている錯覚になるのは、彼らの強み。
リフが軋んで咆哮と共に立ち上がるツインリードが先導するM-1“Murder Of Crows”から象徴的で、微かに暗く沈むようなリフの刻みが重厚な疾走と停止を繰り返すM-2“Awakening”、ロックンロール的なリズムで圧殺するグルーヴと軽やかに舞う冷たいメロディーの対比が効いているM-3“Blood Will Be My Crown”、分厚いリフでバキッとしたリズムに帯同して厳つく展開していくM-4“Silence”、物憂げで重く沈んでいくメロディーも儚いM-5“We Become One”と、浮わついたところの全くない展開で押していくのがわかりますね。
ザクザクと気持ちの良いリフに飛翔するリードが絡む耽美な空気も放射するM-6“Celestials”、原始的な太鼓からキレのいいカッティングと壮絶なグロウルが美味い表題通りの暴虐的なM-8“Wrath”、しっとりとしたフレーズをゆっくり織り上げて山を頂く雄大叙事詩に仕立てたM-10“Distant Call Of Innocence”と、最後までブレずにじっくりと聴かせる作品です。
アピールポイントが冷たく儚いメロディーですが、それを盛り上げるには実直さが勝ちすぎて無骨になりすぎている印象を受ける、勿体無い作品だと思います。
重苦しさと対比するにはメロディーも割とそこに寄ってしまってうまく対比になりきれてないんですね。
ただメロディーセンスそのものは悪くないし、悪い作品でもないので聴いてみても損はないです。
次作以降、Sentencedみたく変化してもおかしくないと思います。
アートワークはかなり良くて、個人的には大好きなアートワークですね。
これだけメタルな作品なのにMetallumに登録されていないのは何故なんだろう。



1. Murder Of Crows
2. Awakening
3. Blood Will Be My Crown
4. Silence
5. We Become One
6. Celestials
7. Stars And Constellation
8. Wrath ★
9. Burning Daylight
10. Distant Call Of Innocence
(2020/Via Inverse)
Time/55:38