むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Kvaen / The Funeral Pyre

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Kvaen / The Funeral Pyre


スウェーデンのメロディックブラックメタルバンドによる初フルレングス。


冷たい叙情が肌を突き刺す作品で、どこかノルウェーのバンドのような空気を個人的に感じました。
このKvaenは、The Duskfallに在籍していたJakob Bjornfot氏による独りバンドですが、そうとは感じさせない分厚い演奏が有機的に絡み合っています。
禍々しい熱気を吹き上げて邪悪な爆走からメロディアスなギターに雪崩れ込むM-1“Revenge By Fire”を聴けばわかるように、非常に流麗なギターを大々的に取り上げる作風に仕上がっています。
冷たく吹雪くようなリフが耳をなぶる王道的なメロディックブラックM-2“Yee Naaldooshii”、透き通る美しさを持つギターが分厚さを増して徐々に邪悪さをうっすらまとわりつかせて疾走するM-3“The Funeral Pyre”、重苦しく陰鬱な叙情がキャッチーなリフと共に押し寄せてくるM-4“Septem Peccata Mortalia”の前半でシンプルな構成のメロブラに喝采
深い森の渓谷に狼の遠吠えが木霊するヴァイキングメタルの勇壮さを聴かせるM-5“The Wolves Throne”から一気にJakob氏の深い世界観が提示されていきます。
暗黒感を強めたリフで邪悪に渦巻く演奏で酩酊するM-6“As We Serve The Masters Plan”、身を切る寒々しさに体感温度が下がる雄大な自然への畏怖をぶちまけるM-7“Bestial Winter”を経て辿り着いた闇夜に浮かぶ城塞を彷彿とさせる壮大なギターインストM-8“Hymn To Kvenland”で幕を下ろす辺り、今作にはコンセプチュアルな世界観を見出だせる力作に仕上がっています。
In AeternumのPerra KarlsonやSvartsotにいたDanni Jarsgaard等、名うてのドラマーたちが客演として迎えられているのもなかなか耳に楽しいですよ。
ギターがガンガンに弾き倒されている作風なので、ブラックメタルのファンに限らずメロデスファンにもオススメできる逸品です。


1. Revenge By Fire
2. Yee Naaldooshii
3. The Funeral Pyre ★
4. Septem Peccata Mortalia
5. The Wolves Throne
6. As We Serve The Masters Plan
7. Bestial Winter
8. Hymn To Kvenland
(2020/Black Lion)
Time/45:31