むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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lynch. / ULTIMA

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lynch. / ULTIMA


日本のロックバンドによる10作目フルレングス。


リリーススパンが早すぎる彼等ですが、今作では1年8ヶ月と少し時間を取っています。
作風としては、いつものlynch.という感想が真っ先に浮かびます。
前作の先達のオマージュを散りばめた感覚ではなく、“Gallows”以前の自らを振り返ったものだと思いました。
ここ数作にあった序曲のSEを取っ払い、一気にフルスロットルに駆け抜けるM-1Ultima”が象徴するようにメタリックな肉体性はこれまでで最も強く、クリアで分離の良い贅沢な音像が楽しめます。
Voの葉月氏はシャウトやスクリームに定評がありますが、M-2“Xero”やM-5“Allergie”ではかなりロウレンジのガテラルを披露しており幅を広げています。
シャッフルビートで歌謡曲的な薫りを振り撒くM-6“Idol”、複雑なリズムにギターが浮遊するM-7“Zinnia”辺りは彼等の温故知新を感じさせますし、軽やかかつ華やかに疾走するM-8“In This Era”、ほんのり叙情的なフレーバーを混ぜ込みヒステリックに爆走するM-9“Rudeness”は初期を彷彿とさせて嬉しくなりますね。
立体的にこねくり回すギターと前のめりに爆走する勢いに溢れたM-10“Machine”、余白をあけて音響的に余韻を持たせるバラードM-11“Aster”、爽やかに光を感じる人懐っこいポップソングM-12“Eureka”と、後半の方がきっちりした構成だな、と。
個人的に最高傑作ではないですが、今作は前作よりも潔いアルバムで好きですね。
ただ、今作は明らかに集大成なので次作以降の難易度が跳ね上がった感は否めません。
個人的にはもっとブルータルな作風にチャレンジしてほしいなって。


1. Ultima
2. Xero
3. Barrier
4. Eros
5. Allergie
6. Idol
7. Zinnia
8. In This Era
9. Rudeness ★
10. Machine
11. Aster
12. Eureka
(2020/King Records)
Time/46:33

Score:8.5/10


XERO / lynch.