むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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My Material Season / Bloody Pains Stigmata

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My Material Season / Bloody Pains Stigmata


日本のメロディックデスメタルバンドによる4作目フルレングス。


メロデスでよく言われる“慟哭”とは何か、最もと言っていいほど如実に体現した作品です。
前作から6年という長いインターバルを取っていましたが、待った甲斐のある凄まじい作品に仕上がっています。
彼らの核である歌謡曲的な親しみやすさと華やかさを持つギターメロディーを主軸に据え、ピアノとメロデスの邂逅はますます磨き抜かれてています。
煌々と輝きながら劇的に爆走する様はM-1“Dramatic Death”から貫かれており、一切手抜かりありません。
派手めなリフに明瞭なメロディーがまとわりつき爆走するM-2“Punish For My Weakness”、しっとりしたピアノに導かれる分厚いリフと小気味良いスネアが軽快に抜けていくM-3“Bloody Pains Stigmata”、劇的にキャッチーなメロディーをこれでもかと詰め込んで疾走するアンセミックなM-4“Frozen Tears”、前曲を引きずるように滑らかなピアノに牽引される耽美な戯曲的な雰囲気を漂わせるM-5“Winter Mirage”までの波状攻撃に涙腺が緩まない人が何処にいるでしょうか。
冷たくも美しいギターが乱舞するポップネスを発露するようなM-6“Cold Moon Smile”、悲嘆に暮れる心情を劇的に描き塗り上げるような
M-7“Act Of Sorrow”における感情の暴走に止めを刺すピアノソナタM-8“Piano Of Maria”の構成力は粋だな、と。
終盤の畳み掛けを開始する乾いた抜けのいいドラムと艶やかなギターの対比が素晴らしいM-9“Lunatic Alice”、ピアノ独奏を切り裂く作中最も暴虐的なパートを挟んで女性コーラスもこれでもかと舞わせる強烈に劇的なM-10“Rosary”、ゆったりと幕を降ろすかと思えば壮大に盛り上げる慟哭に咽ぶような終幕に相応しいM-11“Last Dance”と、容赦ないドラマが聴き手を襲うこの感じ、実に素晴らしいですね。
トレーラーでは今一つギター以外の音が聞き取りにくかったのですが、ドラムやベースもしっかりギターの派手さに負けない仕事をしているし、Voの噛みつく感じも実にかっこいいです。
メロデスの中でも最高峰に位置づけてもいいほどの大傑作です。
実はこの手のメロディー奔流型のメロデスに乗り切れない私でも大興奮でした。


1. Dramatic Death
2. Punish For My Weakness
3. Bloody Pains Stigmata
4. Frozen Tears
5. Winter Mirage
6. Cold Moon Smile
7. Act Of Sorrow
8. Piano Of Maria
9. Lunatic Alice
10. Rosary ★
11. Last Dance
(2020/Repentless)
Time/54:46