むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Hideous Divinity / Simulacrum

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Hideous Divinity / Simulacrum


イタリアのテクニカルデスメタル/ブルータルデスメタルバンドによる4作目フルレングス。


元Hour Of PenanceのEnrico Schettino氏が結成したバンドでありますが、もうその冠詞は不要で音楽性はHour Of Penanceとは似て非なるものです。
前作までのハイパーブラストとでも言えそうな凄まじいブラストビートによる削岩機のようなドラムは勿論健在。
ただし、メロディーのタッチがかなり暗黒的な、ブラックメタル的な色合いを濃くしており、ともなって幅が広まった印象です。
その鍵とも言えるのが限定盤ボーナスのMachine HeadのカバーであるM-11“Blood Of The Zodiac”、MayhemのカバーM-12“Cursed In Eternity”です。
両者ともしっかりデスメタルとしてアレンジされていますが、特にM-12の方はMayhemの色が非常に濃く残されており、本編の暗黒風味増大の背景が透けて見えます。
元々の荘厳なメロディーラインを際立たせた暴虐的なM-1“Deleuzean Centuries”の怒濤の削岩ブラストからも窺えるように、突進力は衰えていません。
血生臭いリフで黒々しいグルーヴを赤く演出する厭世的な色が滲む突貫デスメタルM-2“The Embalmer”、呪文SEのM-3“Condense”から繋がる邪悪なメロディーで残虐にのたうち回らせるリフで血溜まりを作るM-4“Anamorphia Atto III”、メリハリの効いたドラムとベリベリと耳を剥がすベースに引きずり倒されるキャッチーなM-5“The Deaden Room”までで聴き手は丸裸にされるでしょう。
高速で不協和音が乱反射して撹拌される暴力的なデスメタルM-6“Actaeon”、さらに重心を落として暗いグルーヴを渦巻きながら爆走していくM-7“Bent Until Fracture”、美しいキーボードの音がおぞましく塗り潰されて圧縮していく壮大なメロディーが堪能できるM-10“Implemini Exitio”に至るまで安定した演奏が堪能できます。
作風が少し変わろうともHideous Divinityというデスメタルの核はブレていないので、これも一つの作風の拡張として受け入れられるのではないでしょうか。
ドロドロしていますが、スポーティーにも聴けるのはなかなか得難いですし。
暗黒的なデスメタルがお好きな人には、是非オススメできます。


1. Deleuzean Centuries
2. The Embalmer
3. Condense
4. Anamorphia Atto III ★
5. The Deaden Room
6. Actaeon
7. Bent Until Fracture
8. Seed Of Future Horror
9. Pray To A Vision
10. Implemini Exitio
11. Blood Of The Zodiac
12. Cursed In Eternity
(2019/Century Media)
Time/51:02