むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Plague Vendor / By Night

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Plague Vendor / By Night


USのパンク/オルタナティブロックバンドによる3作目フルレングス。



The Stoogesの“Raw Power”のような荒々しさと色気を持った前作でしたが、今作はそこにJoy DivisionあるいはBauhausの退廃感を大幅に導入し、The Strokesみたいにスタイリッシュに聴かせる作品だと言えます。
パンク由来の衝動をクールに聴かせるM-1“New Comedown”はその最たるものであり、ロックバンドの格好良さをただただ提示しており、官能のグルーヴで横に揺らせるM-2“Nothing's Wrong”にも旨味を凝縮しています。
更にダウナーなダンスグルーヴでグッと腰を掴むようなM-3“All Of The Above”で嗅ぎ取れる90'sオルタナティヴの残滓、それを突き詰めたざらついたギターが耳を引っ掻くM-4“Let Me Get High/Low”、ダイナミズムを重視したベースが産むグルーヴが揺らせるM-5“Prism”のあまりにMC5然とした佇まいに痺れますね。
ロマンティックなベースラインを聴かせるニューウェイヴ的味わいのM-7“Night Sweats”、気だるげなVoが畳み掛けスクリームを張り上げるM-9“Snakeskin Boots”のエネルギッシュな演奏、テンションを落とさず最後まで走り抜けます。
華々しいバンドのルックスもさることながら、ロックバンドとして何をどうすれば効果的に聴かせられるかという冷徹な目線もある作品です。
無軌道な前作も魅力的なのですが、今作も負けず劣らずの魅力的な作品ですね。


1. New Comedown ★
2. Nothing's Wrong
3. All Of The Above
4. Let Me Get High/Low
5. Prism
6. White Wall
7. Night Sweats
8. Pain In My Heart
9. Snakeskin Boots
10. In My Pocket
(2019/Epitaph)
Time/30:50