Nevalra / Conjure The Storm
USのメロディックデスメタル/ブラッケンドデスメタルバンドによる初フルレングス。
Thy Antichrist等に参加した経験を持つScott Eames氏を中心にしたバンドですが、そのクオリティや凄まじいものがあります。
基本的には冷たいメロディーを主軸に据えた暴虐性を全面に押し出した音楽性ですが、M-1“Warchestra”のように派手な劇場型シンフォニックデスを展開したりもして、どことなくSepticfleshにも近しいです。
ただ、いかにもシンフォニックデス然としているのはM-1くらいのもので、冷たく走る単音リフで邪悪で苛烈な空気を押し出すM-2“...Of Ruination”のように暴虐的なメロデスで敷き詰められています。
しっとりした叙情的なアルペジオを切り裂くけたたましいドラムの暴風雨でギターが泣くM-3“Amidst The Ivory Towers”、荘厳なメロディーと緩急をつけた展開で翻弄する凄まじい絶叫も飛び出すドラマチックなM-4“Saeculum”、慟哭のギターメロディーが嵐のように吹き荒ぶM-5“Conjure The Storm”まででの息も吐かせぬ怒涛の流れには息苦しさを覚えるほど。
ド派手なギターメロディーを持つ非常に緻密に構成されたテクニカルデスの要素を押し出したM-6“It Dies In Vein”、わかりやすいリフで少し正統派メタルのニュアンスを出すキャッチーなデスメタルM-7“Kismet”、美しいギターが残響を残す冷たく吹き荒ぶ吹雪が心地好いブラッケンドデスM-8“Take Your Leave”の中盤の派手さがなかなか心憎いです。
ほんのりシンフォデスの残り香を漂わせつつも作中最高にキャッチーなギターが乱舞するM-9“I Am The Sun”、激烈な爆走とメロディアスなパートが入り乱れるM-10“Prophet For Profit”と最後までバキッと締めてくれます。
さりげなく立体的に聴かせるリフや、ロングトーンを多用するグロウル、何より機関銃のようなブラストビートと聞き所がかなり多い作品です。
話題にあまりなってないのが不思議なくらいのアルバムですね。
1. Warchestra
2. ...Of Ruination
3. Amidst The Ivory Towers
4. Saeculum
5. Conjure The Storm
6. It Dies In Vein ★
7. Kismet
8. Take Your Leave
9. I Am The Sun
10. Prophet For Profit
（2019/M-Theory Audio）
Time/44:30
