むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Deviloof / 鬼

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Deviloof / 鬼


日本のエクストリームメタル/ブルータルデス/デスコアバンドによる2作目フルレングス。


前作は良くも悪くも注目を集めた作品でした。
彼らと言えばデビュー作であるEP“Purge”が大絶賛されており、ヴィジュアル系を聴かないデスコアやブルデスファンも取り込んだ作品だったので、クリーンやラウド的展開を盛り込みメジャー感を増した“Devil's Proof”に賛否があったのは当然と言えます。
それを受けての今作ですが、まず“Purge”第二章ではありません。
あくまでベースは“Devil's Proof”です。
ですが、前作と比べても大きく飛躍しており、デスコアやデスメタルの要素とヴィジュアル系特有の耽美なメロディーが綺麗に混ざり合い、興味深いことにそれらのクリーンな要素が血腥さをさらに増強しています。
“Purge”から吸い上げたお得意のスラミングもそこかしこに仕込んでいるのも嬉しいポイント。
和風のギターが飛び出す暴虐度の高いM-1“拷訊惨獄”を聴いてもわかるように、いかに綺麗なメロディーでも綺麗に聴かせるというわけでなく、逆におぞましさを際立たせる役割を担っています。
Vo桂佑氏の歌唱もさらに力を増し、クリーンも飛躍的に巧くなっているのが嬉しいですね。
ギターRay氏の安定したクリーンもさらに安定しています。
ガリガリとしたギターと畳み掛けるガテラルの嵐にスラミングがビシバシ決まるM-2“「開花」~鬼の巻~”、さらに低く重心を落としつつも適度に軽やかなV系パートでアクセントをつけるM-3“孤独死~鬼の巻~”が和風のエレクトロアンビエントSEであるM-4“-妖-”で一区切りをつけます。
重苦しいリフと共に艶やかなメロディーが咲き誇るヘヴィなM-5“アイシテクダサイ”、非常にビターな味わいながらも絶妙にキャッチーで暴虐パートとの対比が癖になる今作のアンセムM-6“Dusky-Vision”、一転甘さを排除しつつも和メロディーを単音で弾き倒す極悪なブレイクダウンも飛び出すM-7“Murderous Impulse”の中盤の緩急も見事。
再び耳休めの不気味なアンビエントM-8“-惑-”を挟み、Djentなリズムを踏みながら怒濤の爆走を繰り広げメロディアスなコーラスに雪崩れるM-9“蜘蛛の糸”、ざらざらしたギターに引っ張られて衝動をぶちまけるハードコアパンクに寄せたM-10“Creepy”、〆を飾るデスコアと演歌を抱き合わせる離れ業をやってのけるM-11“流転”と最後までかなり振りきっています。
今作は合間のインストがかなりアクセントとして機能していて、作風とも綺麗に合致しています。
彼らの場合、どうしても“Purge”の作風を求められていますが、なかなかどうしてそういったファンも黙らせられる作品に仕上がっているのではないでしょうか。伸び代も十分。
宵の風情が禍々しく塗り替わる瞬間を巧く切り取った作品。


1. 拷訊惨獄
2. 「開花」~鬼の巻~
3. 孤独死~鬼の巻~
4. -妖-
5. アイシテクダサイ
6. Dusky-Vision
7. Murderous Impulse
8. -惑-
9. 蜘蛛の糸
10. Creepy
11. 流転
(2019/9th Records)
Time/41:03