むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Fleshgod Apocalypse / Veleno

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Fleshgod Apocalypse / Veleno


イタリアのブルータルデス/シンフォニックデスメタルバンドによる5作目フルレングス。


苛烈で暴虐的なブルデスと壮麗なオーケストラを過剰なまでに足した音楽性で好評を博し、ここ日本でもかなり人気のあるバンドです。
絢爛豪華な音楽性は今作でも変化なしですが、メンバー編成が変わった影響(前作でも参加していたVelonica嬢がアーティスト写真にも登場してよりパーマネントに近い立ち位置にいるのも大きな変化かもしれません)か、よりオーガニックかつストレートで攻撃的な作品に仕上がっていると思います。
個人的にはこの変化は嬉しくて、デスメタルパートにどこかMorbid Angelのようなどろどろした空気が流れているのも良い。
M-2“Carnivorous Lamb”で顕著ですが、シンフォニー控え目で攻撃的なリフとブラストビートがひたすら耳を痛ぶる感覚が心地好いですね。
怒濤のリフ責めに呪術的なコーラスを塗し一発でアルバムの色を決定づけるM-1“Fury”、複雑怪奇な構成がワルツのリズム感で躍動するキャッチーなグロウルのコーラスが慟哭のメロディーと共に炸裂するM-3“Sugar”、勇壮さと神秘性を全面に押し出したより正統派のピュアメタルらしさを覗かせたM-5“Monnalisa”、凶悪なリフと地獄のようなベースとえぐみのあるドラムでひたすら激情をぶちまけ続けるM-6“Worship & Forget”の流れに悶絶しました。
Paoloのクリーンが鮮烈に轟くM-7“Absinthe”まで、実は今作そこまでクリーンが使われていないのが意外と言えば意外ですね。Paoloのクリーンも好きですが、彼らのデスメタルパートが大好きな自分からすれば非常に嬉しい。
小気味よくかっ飛ばされるドラムのおかずにブラストを挟むスラッシーなデスメタルに神秘的なコーラスが舞うM-8“Pissing On The Score”、陰鬱な音色を帯びた銀盤に女性Voが乗るゴシックメタル然としたバラードM-9“The Day We'll Be Gone”、けたたましく鳴り響くブラストビートと過剰なまでに装飾されたオペラを従えるバンドの強靭さが凄まじいM-10“Embrace The Oblivion”、耳を優しく包むようなピアノソナタM-11“Veleno”で美しく幕を下ろす構成力に唸りますね。
前作があまり刺さらなかったのですが、今作の直情的かつダイナミックな作品に仕上がっていて結構好きです。
いよいよ風格が出てきた素晴らしい毒気溢れる作品ですね。



1. Fury
2. Carnivorous Lamb
3. Sugar
4. The Praying Mantis' Strategy
5. Monnalisa
6. Worship & Forget ★
7. Absinthe
8. Pissing On The Score
9. The Day We'll Be Gone
10. Embrace The Oblivion
11. Veleno
(2019/Nuclear Blast)
Time/51:42

Score:8.9/10


FLESHGOD APOCALYPSE - Sugar (OFFICIAL MUSIC VIDEO)