むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Steel Engraved / Steel Engraved

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Steel Engraved / Steel Engraved


ドイツのヘヴィメタルバンドによる3作目フルレングス。


RageのライヴメンバーでもあったThomas Kuchtaを擁するバンドですが、聴くのは初めてです。
彼らの音楽性は正統派メタルを主軸に据えており、個人的に大好きなMystic Prophecyにも通じる湿り気ある哀愁メロディーの良さと力強さがあります。
そこにブラストビートを要所に織り込んだり、メタルコアのようなブレイクダウンを違和感なく溶け込ませたりしていて、モダンな要素も堅実に聴かせる辺りはドイツのバンドらしいかな、と。
キャッチーなシンセフレーズと重厚なリフを軽やかなビートに乗せるM-1“Where Shadows Remain”の朗々たる歌唱が、今作を象徴しています。
哀愁あるメロディーが全面に押し出されたハードロック然としたM-2“Generation Headless”、チープなシンセが80'sの雰囲気を漂わせる妖艶なM-4“Slave To Yourself”、華麗なシュレッドと共に疾走するネオクラ的味わいのM-5“Nightwarriors”、歯切れのいいリズムと哀愁あるコーラスが華やかなギターと迫るM-6“Rebellion”、厳かな音色のシンセにザクザクしたリフが邪悪に絡みつく爽やかなコーラスも効いているM-9“Heat”、ピアノも美しく余韻を残すパワーバラードを“オペラ座の怪人”に乗せて歌い上げられるM-13“All That Lies Below”と、バラエティに富んだ作風だな、と。
パワーメタルと言うほどリフの分厚さとスピーディーかつ威圧的な曲運びをしているわけではないのですが、ツボを押さえた楽曲が並びます。
クオリティも申し分なく、個性的なバンドではないですがきっちりとしたメタルアルバムが聴きたいなという方にはうってつけかな、と斯様に思います。
スピリチュアルビーストさん辺りから日本盤出てもおかしくないかも。
ちなみにジャケ買いでした。


1. Where Shadows Remain
2. Generation Headless
3. The Oppressed Will Fly
4. Slave To Yourself
5. Nightwarriors
6. Rebellion
7. Searching For Regret
8. One By One
9. Heat ★
10. Your Inner Self
11. Close Your Eyes
12. We Will Follow
13. All That Lies Below
(2019/Rock And Angels)
Time/57:05
※M-12、13限定盤ボーナストラック