むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

「傑作!」を連発するレビューブログを目指しています。コメントは記事ページから書込・閲覧頂けます。

Red Rum Club / Matador

f:id:bluecelosia:20190220212546j:plain
Red Rum Club / Matador


UKのロックバンドによる初フルレングス。


非常にロマンティストで、個性的なロックンロールだな、と。
リヴァプール出身の、トランペットを擁する彼らはその編成もさることながら、西部劇を思わせる哀愁あるメロディーと朗々とした男臭いVoが最大の武器。
本当に歌上手いんです、これが。声質の良さも勿論あるのですが、男臭いのに汗臭いというよりも紳士な感覚が先に来ます。
何気にいい仕事をしているのがベースで、どんなにロマンチックな曲でも一定の荒々しさを保持しているのはこのベースがあるからこそ。
トランペットが高らかに産声を響かせるM-1“Angeline”の性急なビートは生々しく、60年代モータウン調のロマンチックな聴き心地のM-2“Would You Rather Be Lonely?”で彼らの触れ幅が大きいことを知らしめています。
ロンドンパンクの感性を持った哀愁あるパンクソングM-3“Hung Up”、艶やかなトランペットに耳を引くベースラインが這い回るM-5“Honey”、荒野でガンマンが決闘しそうな場面が浮かぶ勇壮と哀愁のメロディーが踊るM-7“Calexico”といった彼らの個性を決定づける曲は非常に格好良いです。
キーボードの電子感とトランペットが不可思議な世界観を生み出すどこかニューウェイヴ的なほの暗さのあるM-9“Remedy(To Clean A Dirty Soul)”、一転開放的なメロディーで広がりを持たせた壮大さのあるM-10“Matador”と、特徴的なメロディーのみが引き出しでないことも提示できるそつのなさ。
10曲で約31分という、コンパクトなサイズですが非常に濃厚な聴き応えで、完成度も異様に高い。
末恐ろしく、これからが楽しみな新人ですね。
メロディーのタイプ的に、UKロックやモッズパンク愛好者の他にも、案外メタラーの方にも受けるのではないかとも思います。
クサメタルに通じるものがあるので。
正直、ブックレットは欲しかったですが。


1. Angeline
2. Would You Rather Be Lonely?
3. Hung Up ★
4. TV Said So
5. Honey
6. Nobody Gets Out Alive
7. Calexico
8. Casanova
9. Remedy(To Clean A Dirty Soul)
10. Matador
(2019/Modern Sky UK)
Time/31:29

Score:9.0/10


Red Rum Club • Honey