むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Irreversible Mechanism / Immersion

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Irreversible Mechanism / Immersion


ベラルーシのテクニカルデスメタル/プログレッシヴデスメタルバンドによる2作目フルレングス。


宇宙の彼方に飛ばされそうな世界観。
極めてスペーシーかつサイケデリックな、浮遊感たっぷりでメロディアスな音像ながら、激烈としか言えない凶悪な演奏との対比が見事です。
元々は2人編成であり、前作発表後にメンバーが増えていき、今の編成に落ち着いた模様。
彼ら最大の特徴は、CynicやObscura、Fallujah辺りを混ぜたスタイル以上に常軌を逸した音色の多彩さで聞かせるギター。
一聴してシンセと思えるような音もギターで出していたりして、独特の浮遊感と重厚さの同居をM-1“Existence I:Contemplation”から貫いています。
ストップ&ゴーの切迫感と美しくフラッシーなギターによるメロディーが波状を作る音楽性の極点がM-5“Footprints In The Sand”であり、忙しなくパターンを変化させ続けるドラムはテクニカルデス由来の立体構造。
M-1の続編である暴虐的なリフとグロウルにゾッとするほど美しく柔らかい音色を差し込むM-2“Existence II:Collision”、邪悪で派手さのあるリフ捌きと凄まじい速さのブラストを轟かすポストロックに近いギターの残響に持つM-3“Abolution”、不穏な電子音とダブステップ/IDMのビートでじわりと福音的なメロディーを滲ませるM-4“Simulacra”を経てのM-5という完璧な流れに感嘆。
穏やかに溶けるようなアルペジオを切り裂くようなリフが印象的なド派手な展開を持つM-6“Beyond”、耳障りな不協和音が幻想的なチャントに融解するM-7“Limbo”を通過しての極めて幽玄な世界を体現しつつ凶悪なデスメタルに変貌するM-8“Immersion”と息も吐かせないほど濃密。
乱舞するスウィープが耳にこびりつく開放的なコーラスも癖になるM-9“Awakening”~華々しく過ぎ去っていくようなインストM-10“Seclusion”で幕を下ろす見事な構成。
正直、この手のデスメタルでは類を見ないほど掛け値なしの大傑作です。
前作と比較しても全く次元が違う境地に達している凄まじい作品。
何気にゴージャスなプロダクションだったりもするので、音もめちゃくちゃ良いですよ。


1. Existence I:Contemplation
2. Existence II:Collision
3. Abolution
4. Simulacra
5. Footprints In The Sand ★
6. Beyond
7. Limbo
8. Immersion
9. Awakening
10. Seclusion
(2018/Blood Music)
Time/51:55