むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Necrophobic / Mark Of The Necrogram

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Necrophobic / Mark Of The Necrogram


スウェーデンのデス/ブラックメタルバンドによる8作目フルレングス。


ある種コンセプトアルバムだった前作から一転、原点回帰を図ったような作品だと思います。
名作“Darkside”や個人的に一番好きな“Bloodhymns”辺りの寒々しく爆走するメロディックブラック路線です。
このバンドは、個人的にはDissectionやJens Ryden在籍時のNaglfarに連なるバンドだと思っていて、邪悪なのに優美、荘厳で高貴な空気を漂わせるバンドだと思っています。
彼らの特色として絶対零度トレモロリザードによるわかりやすいメロディーがあります。
それはM-1“Mark Of The Necrogram”の吹き荒ぶブリザードリフから明らかで、最後まで基本的には爆走します。
ただ爆走と言っても曲の起伏はしっかり設けてあり、一辺倒にならないギリギリのバランスを保っています。
また、メロディックブラックの中でも美麗なギターソロを容赦なく突っ込んでくることでも知られ、サタニックな世界観や冷たい音像を持つバンドでも格段に聴きやすいですね。
吹雪を纏い禍々しく爆走しながら合唱を呼び起こすであろう作中でも最も聴きやすいM-3“Tsar Bomba”、幽玄のメロディーを立ち上らせ跳ねるリズムで邪悪な舞踏を想像させるM-4“Lamashtu”、叙情的なアルペジオから冷たくも美しいトレモロリフへと繋いで乱打されるドラムに合わせて疾走するM-6“Pesta”、泣き叫ぶようなギターと雪崩を引き起こす冷たいリフメロディーが耳に残るM-8“Crown Of Thorns”辺りの激しくも美しい楽曲に耳を奪われる諸氏は多いはず。
基盤は変わらないですが、変わらない良さとほんの少し風通しを良くするベテランならではの作品です。
大きな驚きこそないですが、冷たい美しさに浸りたい一枚ですね。
これからの季節のお供にどうぞ。


1. Mark Of The Necrogram
2. Odium Caecum
3. Tsar Bomba
4. Lamashtu
5. Sacrosanct
6. Pesta ★
7. Requiem For A Dying Suns
8. Crown Of Thorns
9. From The Great Above To The Great Below
10. Undergangen
(2018/Century Media)
Time/48:14