むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Caliban / Elements

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Caliban / Elements


ドイツのオルタナティブメタル/メタルコアバンドによる11作目フルレングス。


メタルコア三羽烏と言われていた時代も今や過去の話。
形骸的なメタルコアから脱却しニューメタル/Djentの素養を多分に吸収したオルタナティブメタルを最近は掘り下げ続けています。
メタルコア的な要素がなくなったと言われてはいますが、近年の彼らのメロディーラインだったり爆発力だったりと言った部分はしっかり残されていると思います。
初期のような青い疾走感を求めると透かされるとは思いますが、今作は近年の作品とは比較にならないほどブルータルで疾走していたりします。
近年の彼らのトレンドでもあるグルーヴもしっかりあって、グルーヴメタルっぽい疾走感とメタルコアのブレイクダウンを自然に織り込むM-1“This Is War”がまず出色の出来。
鋭くグルーヴに突き落とされる彼ららしいM-2“Intoxicated”、ゴリゴリと耳を削るニューメタル的なパートから一気に開放的なコーラスへ雪崩れるM-5“Set Me Free”、絢爛のギターを切り裂くように疾走するメタルコアを重厚に聴かせるM-7“I Am Fear”辺りは近年でも最高に重たい曲で聞き応えありますね。
少し軽めのメロパートから壮大なコーラスを繋げる浮遊感のあるM-9“Carry On”やストレートに疾走するへヴィかつキャッチーなM-10“Masquerade”、ブレイクダウン主体で重たいリフをこねくり回して爆走したりもするM-13“Sleepers Awake”は新しくやりたいこととやってきたことが巧く噛み合っていて未来を見せてくれた感覚になります。
全体的にソリッドでかっこいい作品ですが、展開的には一点集中型で幅には乏しいので、バラエティー豊かな作品が好きな人や、初期の王道メタルコアバンドCalibanを求めている人には不向きではあります。
ですが、個人的に彼らにはもう王道メタルコアを求めているわけではないので結構楽しめました。
いかにオルタナティブメタルに寄せた音楽性に舵を切っているとは言え、根っこはハードコアなんだなと思いますね。


1. This Is War ★
2. Intoxicated
3. Ich Blute Fur Dich
4. Before Later Becomes Never
5. Set Me Free
6. My Madness
7. I Am Fear
8. Delusion
9. Carry On
10. Masquerade
11. Incomplete
12. The Great Unknown
13. Sleepers Awake
(2018/Century Media)
Time/50:13