むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

「傑作!」を連発するレビューブログを目指しています。コメントは記事ページから書込・閲覧頂けます。

King Witch / Under The Mountain

f:id:bluecelosia:20180709211624j:plain
King Witch / Under The Mountain


UKのヘヴィメタル/ドゥームメタルバンドによる初フルレングス。


女性Voで魔術的に聴かせる豪快極まりないドゥームメタルです。
奈落の底に引きずり込むような重苦しさを湛えつつも、暴虐的な爆走を織り混ぜるパートもそつなくこなしており、女性Vo版High On Fireとでも例えられるでしょうか。
女性Voのドゥームメタルと言われるとリヴァーヴをかけた魔女っぽい雰囲気を想像しますが、King WitchのフロントLaura Donnellyはかなりのパワーボイスのシンガーです。
幕開けとなる複雑なテンポを引きずるような重量感たっぷりのM-1“Beneath The Wave”から一気に声を張り上げるのですが、堂々たる雰囲気に魔女と言うよりは、朗々と演説する女司祭のよう。
それを引き裂くようにリフが乱舞し爆走するM-2“Carnal Sacrifice”に否応なく身体中の血液が沸騰します。
Cathedralを思い出すサイケデリックな酩酊感に酔う重たくブルージーなM-3“Solitary”、ハモるシンプルなリフがやけに耳にこびりつく躍動感溢れる表題曲M-4“Under The Mountain”、木訥としたアコースティックな編成に近いブルースを聴かせてくれるM-6“Ancients”までの流れが完璧。
哀愁を引きずったまま音がうねりまくるM-7“Hunger”から最後の一刺しに溜めに溜めた圧殺感が大暴走するM-9“Black Dog Blues”の幕引きまで凄まじい緊張感が滾っている構成は実に見事。
張り上げるようなVoのLauraのカリスマ性もそうですが、Jamie Gilchristの鮮やかなギターこそがこのバンド最大の旨味ではないかと思います。
ドゥームに馴染みがない人でも、この作品は遅い作品ではないのでとっつきやすいのではないでしょうか。
初フルにして、凄まじい完成度を誇る作品ですね。


1. Beneath The Wave
2. Carnal Sacrifice
3. Solitary
4. Under The Mountain
5. Approaching The End
6. Ancients
7. Hunger ★
8. Possession
9. Black Dog Blues
(2018/Listenable)
Time/43:21