むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Mardelas / Mardelas III

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Mardelas / Mardelas III


日本のヘヴィメタル/ハードロックバンドによる3作目フルレングス。


コンセプトに足を引っ張られたような印象をまず受けました。
“新宿歌舞伎町裏社会”がテーマで、バンドメンバーそれぞれが極妻未亡人、ホスト、殺し屋、オカマバーのママというアクの強すぎる設定のために、リアル感が希薄で伝えたいものはシリアスなものらしいですが、どう捉えていいのかわからない。
真面目に聴くべきなのか、Vシネマのようにニヤニヤ笑いながら聴くべきなのか。
おかしい、自分“ミナミの帝王”めちゃくちゃ好きなのに入り込めない。
強すぎるコスプレ感とシリアスなメッセージ性が自分の中で噛み合わなかったのかもしれません。世界観は物凄いハードボイルドなはずなのに、と思ってしまうというか。竹内力のシリアスな演技がないせいかもしれない。
演出する楽曲群は手癖感はあるもののなかなかハードボイルドでアグレッシヴでメロディアスな、アホみたいに聴いていた1stを彷彿とさせるもの。
前作のポップすぎる作風に肩を落とした私には嬉しい方向性ではあります。
新加入のベースは、Hibiki氏とは違って、堅実に曲を支えるもので派手さはないですが、いぶし銀な魅力が光っていて私は結構好きです。
良くも悪くも、アルバムテーマのインストであるM-1“Mardelas THE THIRD”が全体を特徴づけてしまうんですよね。
“太陽に吠えろ”や“ルパン三世”よりも“名探偵コナン”が浮かんでしまいましたし。
それでも、Voを際立たせた和製ブルースの情緒を感じさせるM-6“On The Lam”の渋さや、叙情的に艶やかな美メロが炸裂する疾走感たっぷりなM-9“Link”、メロメロに弾き倒されるギターに咆哮が乗る爆走メタルM-11“Epilogue”といった曲はバンドの地力を感じさせる素晴らしい曲です。
コンセプトを強く感じる前半でも、M-3“Bullseye”のシリアスかつ語呂のいい歌詞の言い回しと硬質のギターが唸りまくるかっこよさはグッときます。
コンセプトの前情報を何も入れずに聴くと単純にかっこいいアルバムですが、Vシネマ設定を知ってしまうとどう捉えていいのかわからなくなるので、まずは音を聴いて判断すべき作品です。
本来コンセプトアルバムに対して言うべきことではないのですけども。
龍が如く”や“極妻”のディープなファンならコンセプトありきでも楽しめるとは思います。
サイコ・ル・シェイムSound Horizon並に振り切ったエンターテイメントショーをライヴで繰り広げる方向でのこれなら、手のひらくるくるする気がします。


1. Mardelas THE THIRD
2. World vs Honor -仁義なき世界-
3. Bullseye
4. Deception
5. Rock On!
6. On The Lam
7. No One
8. Symbiosis[Album Version]
9. Link[Album Version] ★
10. 都会の黄昏 -Urban Twilight-
11. Epilogue
(2018/キングレコード
Time/46:59