むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Ingested / The Level Above Human

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Ingested / The Level Above Human


USのテクニカルデスメタル/ブルータルデスメタルバンドによる4作目フルレングス。


巧みにビートダウンを織り交ぜスラミングスレスレの残虐な世界観はますます磨きがかかりました。
今作は前作以上に風通しがいいです。
ブラストビートは容赦なく鼓膜を揺るがしますし、鈍くギラつくリフは重厚なハーモニーを生み聞き手を翻弄します。
そして今作は、前作でも聴けた哀愁あるトーンを更に強調させブルースまで接近したM-7“Last Rites”やM-10“Obsolescent”があります。
ブルースに接近したと言ってもスライドギターでクリーンに聴かせる類のものでは当然なく、前者は自然とブルータルパートに雪崩れ込むもので、後者はインストながらもドゥームやスラッジのフィーリングを漂わせて徹底的に落とし込みます。
この2曲は今作のハイライトでもあり新機軸で、バンドがより高次元に達したことを雄弁に語っています。
勿論、開幕M-1“Sovereign”のガンガンとスラミングで突っ込む突進力、高低の壮絶なグロウルを使い分け加速する楽曲を支配するM-2“Invidious”、重苦しく無機質なリフでギチギチに絞め上げるM-3“Misery Leech”の序盤だけでもブルータル好きはガッツポーズ必至。
呪術的なメロディーをおぞましく響かせながら複雑怪奇かつ重層的にリフとドラムを組み上げるM-4“Purveyors Of Truth”、ミドルながらも威圧的に厳つい演奏で攻め立てるグルーヴィーなデスメタルM-5“Transcendence Of Gods”、邪悪なメロディーと凄まじいスラミングで凶悪さを演出するM-6“Better Off Dead”から雪崩れ込む前述のM-7“Last Rites”の美しさがより一層引き立ちます。
感傷を叩き潰すようなスラミングと作中最高速に暴れ狂うブルータルパートが入り乱れるM-8“The Crimson Oath”、怒りを溜め込むような重圧感溢れる演奏を一気に爆発させるM-9“Purge The Parasite”と終盤の畳み掛けも実に見事。
圧倒的なプレイヤビリティもさることながら、聴けば聴くほど加虐的な音に平伏す作品です。
デスコアっぽさはアクセントとして機能していて巧く猟奇的なブルデスに昇華されているので、デスメタルが好きな方には誰にでもオススメできますよ。


1. Sovereign
2. Invidious
3. Misery Leech
4. Purveyors Of Truth
5. Transcendence Of Gods
6. Better Off Dead
7. Last Rites ★
8. The Crimson Oath
9. Purge The Parasite
10. Obsolescent
(2018/Unique Leader)
Time/44:21