Breaking Benjamin / Ember
USのオルタナティヴ/ヘヴィロックバンドによる6作目フルレングス。
メンバーを一新してからの2作目です。
小手調べ的に健在感を示した前作よりも、より往年の彼ららしい仕上がりになりました。
つまり、攻撃的なグルーヴと硬質なリフ、悲哀のメロディーを抜群な歌と咆哮で聴かせるあのBreaking Benjaminの帰還です。
そのため眼をあしらったジャケットほど新鮮さはないのですが、ファンには「これだよこれ」感に溢れていると思います。
バラードはM-6“The Dark Of You”のみで、甘さや繊細さ一辺倒な曲を極力排した攻撃的な作品なので。
ニューメタル由来の粘りつくようなグルーヴは実質オープナーであるM-2“Feed The Wolf”からしっかり根付いていますし、Benjamin Burnleyのどっしりした歌はさらに巧くなっています。
壮絶なスクリームをスラップ気味のベースと共にぶっ放すコーラスが合唱を呼び込むM-3“Red Cold River”、渦巻くようなリフがとぐろを巻くようなうねりを伴うM-5“Psycho”、重厚なリフが切なげなメロディーをまとい丁寧に音を重ねたM-7“Down”と、ヘヴィなギターリフをこれまで以上に強調した作風で嬉しくなりますね。
ただ、ザクザクとしたリフと適度な疾走感を持つアグレッシヴなM-11“Close Your Eyes”までミドルテンポで構成されているため、長いアルバムではないのに少し冗長さを感じたのも事実なので、作品に緩急のメリハリを求める方には相変わらず不向きです。
ですが、重苦しさと悲哀を体現した00年代初頭の“あの”空気を味わえるこのアルバムは、ニューメタル復権の今こそ輝く作品であることも確かですね。
1. Lyra
2. Feed The Wolf
3. Red Cold River
4. Tourniquet
5. Psycho
6. The Dark Of You
7. Down
8. Torn In Two
9. Blood
10. Save Yourself
11. Close Your Eyes ★
12. Vega
（2018/Hollywood Records）
Time/38:37
