むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Ectoplasma / Cavern Of Faul Unbeings

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Ectoplasma / Cavern Of Faul Unbeings


ギリシャデスメタルバンドによる2作目フルレングス。


時代錯誤も甚だしい素晴らしいデスメタルのアルバムです。
AutopsyとGraveを足してIncantationで割ったような音楽性で、醜悪に蠢く音の塊に、リヴァーヴがかけられたゾッとするほど美しいギターフレーズを時折挟むもの。
真新しさはないですが、デスメタルとしてツボは的確に押してくれます。
さらにキレのある高速リフをSICKに聴かせてくれるため、体感速度もそれなりに速いです。
噛みつくような極低音のグロウルも特段個性的ではありませんが、非常にこの音楽性にマッチしています。
Unleashedのカバーも収録されているのでスウェディッシュデスの影響がもろに出ているのかと思いきや、威圧的なドラムとリフでこねくり回すM-2“Entranced In Blood”は確実にUS産デスメタルの影響を受けています。
邪悪極まりないリフを高速でとぐろを巻くように渦巻くM-5“Cavern Of Faul Unbeings”は、どこかで聴いたことあるなと思ったらAmorphisの“Vulgar Necrolatry”に似てるんですね、でもUSデスメタルみたく陰惨で血生臭く変貌しています。
ドゥームデスに匹敵する重たさを湛えているミドルに圧殺するM-8“The Unspeakable One”、仄かに叙情的なリフを邪悪に聴かせるM-10“Disembodied Voice”のスウェディッシュデスへの憧憬は、その辺りのデスメタルが好きな人なら胸を熱くするはず。
さらに重圧で狂気を響かせるようなM-3“Mortified And Despised”の合間合間のギターフレーズは非常に美しいんですよね。こういった曲をさらっと織り混ぜる辺り、今時のバンドだな、と思えますね。
オリジナリティがあるわけではないですが、良く練られたソングライティングはギラリと光っていて、旨味が凝縮されていますよ。
奇を衒わない、血生臭く陰惨な、王道のデスメタルを聴きたい方にはオススメします。

1. Amorphous Atrocity(Intro)
2. Entranced In Blood
3. Mortified And Despised ★
4. Seized In Cimmerian Darkness
5. Cavern Of Faul Unbeings
6. Primeval Haunting
7. Reanimated In Trioxin
8. The Unspeakable One
9. GhoulSpawn
10. Disembodied Voice
11. The Immortals(Unleashed Cover)
(2018/Memento Mori
Time/48:32