むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Machine Head / Catharsis

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Machine Head / Catharsis


USのスラッシュ/グルーヴメタルバンドによる9作目フルレングス。



凄まじく熱狂的な作品です。
今作は“Through The Ashes Of Empires”~“Bloodstone & Diamonds”の流れから切り離して聴いた方がいいくらいに変貌しています。
無論、MHの要素でもある、うねりとぐろを巻くようなヘヴィネスはあります。
が、そのヘヴィネスもメタリックなそれとは違って、どちらか言えばハードコアあるいはヒップホップ的なものに近いです。
つまり、去年辺りUSで盛り上がっていたニューメタル復権的な音に近いです。
それでいて、怒りと哀切に塗れたメロディーは極めて衝動的。
作品で言えば“Burn My Eyes”に近いとRob Flynnの言ですが、これは音というよりはシーンあるいは世界に中指を立てていた姿勢のことなのかな、と思います。
音そのものは過去最高にヒップホップに寄ったM-5“Triple Beam”やサイケでトリッピーな音に乗せて麻薬の売人だった頃を歌うM-7“Bastards”、陰鬱なドローンで壮大に歌い上げるM-15“Eulogy”といった曲では、問題作とされる“Burning Red”や“Supercharger”よりも振り切っています。
ただ今作、抜群に曲がいいです。M-1“Voratile”やM-2“Catharsis”のメタル然とした曲の良さと、手拍子を導入した彼らにしては異色なポップネスすら感じさせるM-6“Kaleidoscope”やオルタナティブロックのような青くエモーショナルなメロディーをたっぷり聴かせるM-4“California Bleeding”といった曲を一つの作品に違和感なく溶け込ませる荒業をやってのけています。
この辺りはベテランならではの巧さを感じますね。
従来型の重厚なMH的な曲を要所要所に忍ばせることでマンネリ化を払拭させることにも成功しています。
切迫感のあるVoで激情を迸らせながら急激に展開を変えていくM-12“Psychotic”も素晴らしい出来映えです。
彼らの作品ではコンパクトにまとめた曲が並びますが、アルバムの走行時間としては長い作品ではあるので、その辺りはもう少し削っても良かったような気もします。
賛否は確実に分かれるアルバムですが、個人的には一番好きな“Through The Ashes Of Empires”に次いでよく聴く作品になりそうですね。
思ったよりはしっかりメタルらしさは残している作品だと思いますよ。


1. Voratile
2. Catharsis
3. Beyond The Pale
4. California Bleeding
5. Triple Beam
6. Kaleidoscope
7. Bastards
8. Hope Begets Hope
9. Screaming At The Sun
10. Behind A Mask
11. Heavy Lies The Crown
12. Psychotic ★
13. Grind You Down
14. Razorblade Smile
15. Eulogy
(2018/Nuclear Blast)
Time/74:17