むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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The Drip / The Haunting Fear Of Inevitability

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The Drip / The Haunting Fear Of Inevitability


USのブラッケンドハードコア/グラインドコアバンドによる初フルレングス。


いきなりRelapseからデビューした鳴り物入りのバンドです。
EPの出来はけたたましいグラインドコア一直線!で、今か今かとフルレングスを待っていたバンドですが、その出来はストレートながらなかなかに癖があります。
生粋のグラインダーの方々には受けなさそうなくらいデスメタル色とクラスト色が強まっているのに耳がいきます。
そして今作最大の特徴がそのプロダクション。
とにかく物凄く渇いていて生々しい音に仕上がっています。
血生臭さよりも、血だまりすら乾いて砂埃が巻き上がるかのような世界観。
M-1“Blackest Evocation”から全力で豪速球を放り投げられますが、そのプロダクションのためグラインドコア的な気持ちのいいスピード感は薄め。
けたたましいブラストと暗黒リフを合わせるM-5“Covered In Red”やクラスティーで汚ならしいリフで威圧的かつ複雑に展開するM-8“Wretches”といった曲を聴けば、彼らはむしろネオクラスト的な立ち位置に軸足を置いているのかとすら思えます。
キャッチーなクラストコアM-10“The Answer”みたいな曲も後半に多いのも、「俺ら別にグラインドコアだけやってるわけでもないよ」と主張しているかのよう。
そういった意味で、Napalm Death、NasumやBrutal Truth、Pig Destroyerみたいなグラインドコアを望むと痛い目見るかもしれませんが、殺伐としたクラストコア+グラインドコアな音が詰まったなかなかかっこいい作品です。


1. Blackest Evocation
2. Anathema
3. Gruesome Poetic
4. Dead Inside
5. Covered In Red ★
6. Terror War
7. Painted Ram
8. Wretches
9. In Atrophy
10. The Answer
11. Exile
12. Consigned To Fate
13. Bone Chapel
(2017/Relapse)
Time/31:07