むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Barrowlands / Tyndir

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Barrowlands / Tyndir

USのブラックメタルバンドによる2作目フルレングス。


なかなかに素晴らしいブラックメタルです。
プログレッシヴブラックとも言われるようですが、そこまで大きく劇的に展開するわけではなく、このジャンルではそう珍しいスタイルではありません。
では彼らの何が優れているのかと言えばメロディーです。
USのバンドとは思えないほど北欧的な美メロを武器にしており、個人的にはフィンランドブラックのメロウさに近しいものを感じました。
ドラムがやたらばたつく辺りは、Hornaとかにも通じるものがありますね。
ロックンロール的やさぐれ感というか。
とは言え、USブラック特有のカスカディアン勢に連なる自然崇拝や神経を摩耗するような陰鬱さは作品全体に張り巡らされています。
M-1Hyperion”こそ不思議にUSパワーメタル的ダイナミズム溢れるイントロからはじまりますが、非常に丁寧に弾かれる寒々しいメロディーとグリムVoはブラックメタル以外の何物でもありません。
大作志向ですが、メロディーがいいのと絶妙に演奏に変化を加えているので緊張感が持続するのも嬉しいところ。
雪原を思わせる寂しげなメロディーから雪崩れ込む様は本当に北欧ブラックっぽいM-2“Light Of A Dead Star”や清廉なアルペジオが地獄のようなブラッケンドドゥームに落とされるM-4“Woodland Rebirth”といった工夫ある楽曲も聴き応えあります。
革新的な作品ではありませんが、丁寧に作られたことが窺えるいい作品だと思います。
これからの季節にもピッタリですね。


1. Hyperion
2. Light Of A Dead Star ★
3. Wind And Rain
4. Woodland Rebirth
5. Empty Hands Grasping
(2017/Vendetta)
Time/43:19

Score:8.6/10