むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Caligula's Horse / In Contact

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Caligula's Horse / In Contact


オーストラリアのプログレッシヴメタルバンドによる4作目フルレングス。


スタイルとしては、Leprousに非常に近い音楽性です。
Leprousよりもメタル的なアグレッションが強く、オージー産らしいメタルコア的な瞬発力も結構強く、Djent要素もかなり強い作品です。
今作で初めて聴いたので、過去作品と比較はできませんが、今作の最大の特色はAORにも接近した華やかで温もりのあるメロディー。
とにかくこのメロディーが蕩けてしまいそうなほど美しく、演奏強度の強さと合わさると独特の世界観が広がります。
メロディーをなぞるリードはとことんクリーンを押しつつ美しいシンセやサックスといった楽器と蜜月を交わす反面、前述のDjentを主軸にアグレッション重視のリフも惜しげもなく投入しており、時にドラムはブラストビートを交えつつ奔放に歌います。
Leprousの“Malina”が夜の作品だとすれば、今作“In Contact”は朝~昼の作品。
メロディーの質だけならば、最近のCircus Maximusにも通じるものがありますね。
Leprousと比較される理由の一つでもあるJim Greyの伸びやかな透き通るハイトーンも見事で、少し物憂げなメロディーから囁くように歌い出すM-2“Will's Song(Let The Colours Run)”の縦横無尽に駆け回る感じからして、声も大事にしているバンドだな、と。
彼の声に求心力があるので、奔放に演奏し時にブルータルとすら言えるドラムにも負けていません。
粘土の高いグルーヴの上でギターが泣きまくるM-7“Fill My Heart”やメロハー並の爽やかなメロディーとジャズがDjentと混ざり合う極上の音世界を繰り広げる15分の旅M-10“Graves”が独自のスタイルを築いています。
夏を思わせる浮遊感が雰囲気たっぷりなR&BみたいなM-4“Love Conquers All”やアコギでしっとり聴かせながらドリーミーに漂うM-6“Capulet”といった短い曲が適度に挟まれるので聴き疲れません。
豊潤で、確かな技術に裏打ちされた、全くもって素晴らしい作品です。


1. Dream The Dead
2. Will's Song(Let The Colours Run)
3. The Hands Are The Hardest
4. Love Conquers All
5. Songs For No One
6. Capulet
7. Fill My Heart
8. Inertia And The Weapon Of The Wall
9. The Cannon's Mouth
10. Graves ★
(2017/InsideOut)
Time/61:52