Torchia / Of Curses And Grief
フィンランドのメロディックデスメタルバンドによる初フルレングス。
凄い新人が現れました。
彼らTorchiaは、簡単に言えばDimension Zeroが如きデスラッシュの暴虐性とChildren Of Bodomのようなギラギラした衝動を内包したバンドです。
そのため、楽曲は非常にスピードに乗ったものが多く、キャッチーです。
それだけでなく、北欧の凍てついたメロディーにも力を入れており、Amon Amarthを彷彿とさせる勇壮ささえも時に体現しています。
メロディックでありながら、決してメロディーは甘すぎない。この塩梅が素晴らしく新人離れしています。
緩急のついたドラムは激しく、ロックンロールなビートとブラストを組み合わせたような、ドッカンドッカン跳ね回るプレイが主軸で否応なしに身体が動きます。
ザクザクしたスラッシーなリフはもちろんのこと、美麗なギターソロもいたるところで聴けます。
彼らの本質には２つの柱があり、1つは異様なポップネスとやけっぱちの焦燥感で爆走するM-4“Fury”のように絶対的なアンセムを作り上げるポピュラリティ志向と、凍てついたメロディーで聴かせる王道的なメロデスM-5“My Land Shall Burn”のようなマニアックな探求心。
この２つがうまく溶け合ったようなメロディーを追いつつ必殺のリフで押しまくるM-2“Face Of Hate”やM-6“Headshot”のような曲をこの時点で作り上げるのが末恐ろしい。
さらに言えばM-3“Shame”のように暴虐なデスラッシュにメロディーを交互に挟む曲もあって、アルバムの構成も練られているのがわかります。
独特のリフ捌きで不思議な感覚に陥るM-7“Ending Beginning”の哀愁や盛大に暴発するデスラッシュM-10“Dark And Cold”といった曲で最後まで飽きさせない。
バンダナで顔半分覆い隠してコープスペイントを施したVoのインパクトもあって、キャラクターも立っておりなおかつ音がハッタリに負けていないのでこれからが大いに楽しみです。
1. N.Nc Sco Ten.Br Lvx
2. Face Of Hate
3. Shame
4. Fury
5. My Land Shall Burn
6. Headshot
7. Ending Beginning
8. Light My Path
9. Wish For More
10. Dark And Cold ★
（2017/Concorde Music Company）
Time/36:43
