むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Cemetery Winds / Unholy Ascensions

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Cemetery Winds / Unholy Ascensions


フィンランドメロディックデスメタルプロジェクトによる初フルレングス。


素晴らしい90年代感です。
例えるなら、初期のAmorphisやEdge Of Sanity、Gorement近辺を現代に蘇らせたような音楽性。
そこにメロディーラインのエッセンスとしてDissectionや初期もしくは直近のDark Funeral的寒々しいブラックメタルの要素が注入されています。
このプロジェクトはJ Lukkaなる人物が全ての作曲とギターとドラムを担当しており、ベースとVoは客演です。
Voは二人いますが、曲によって使い分けがされており、ディープな低音グロウルがSolothusのKari Kankaanpa、中~低音域の噛みつくようなグロウルがMarko Ala-Klemeなる人物で彼はJ Lukkaの元バンドメイトのようです。
比率としてKankaanpa氏がメイン扱いかもしれない。
ドラムも金物は打ち込みのような気もしますが、もったりしたバスのアタック感はまさに原初メロデス愛に溢れています。
寒々しく闇夜を疾走するような邪悪なM-1“Dormant Darkness”や小気味良いドラムパターンと邪悪で冷たい叙情を聴かせるM-2“Realm Of The Open Tombs”を聴けば、デスメタルブラックメタルの配分がかなりバランス良いことがわかるでしょう。
キャッチーなリフで押しまくるブルータルなM-4“When Death Descends”や、さらに輪をかけてわかりやすくノらせるも減速してほとんどドゥームデスの領域に入るM-5“Burials After Midnight”で聴ける作曲者の引き出しの奥深さに舌を巻きます。
まるでAmorphisの“Vulgar Necrolatry”を彷彿とさせる爆走感に満ちたM-7“Unholy Ascensions”にニヤニヤが止まらない諸氏も多いのでは。
シークレットのアウトロ含めても8曲で35分満たないので、程好く重苦しい緊張感が持続するという意味でもバランスのいい作品です。
まるでNecrolordさんみたいなタッチのアートワークも収集欲をくすぐる逸品です。


1. Dormant Darkness
2. Realm Of The Open Tombs
3. Into The Breathless Slumber
4. When Death Descends
5. Burials After Midnight
6. The Storm Of Impious Wrath
7. Unholy Ascensions ★
8. (Secret)
(2017/Temple Of Darkness)
Time/33:27