むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Myteri / Myteri

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Myteri / Myteri


スウェーデンの激情ハードコア/ネオクラストバンドによる初フルレングス。


スペインを起点に爆発的に広がったネオクラストと呼ばれる流れに位置するバンドです。
IctvsやKhmerは勿論のこと、Tragedy等からも多大な影響を受けていることがうかがい知れますが、個人的には同郷のMatyrdodからの影響がやはり大きいのではないかと思います。
彼らの最大の武器は、イェーテボリデスメタルメロデスバンドともひけを取らない哀愁溢れる哀しみのメロディーです。
このメロディーの芳醇さで言えば、同ジャンルに属しているバンドの中でもトップクラス。
時に凍えるような美メロに絡みつき吠えたてる2つの咆哮はどこか悲しげに聴こえてくるほど。
そして何と言ってもスウェーデンのバンドではよく聞かれる、ドタバタ走るD-Beatのかっこよさがたまらない。
M-1“Intro”の寂しげなギターの爪弾きから一気にひた走るM-2“Bakom Stangda Dorrar”の胸焦がす哀愁メロディーでこのアルバムの正しさがわかるはず。
M-3“Act Right Now”でもつれそうになりながら声高に叫び続け、M-4“Utan Manskligt Varde”の青くエモーショナルなトレモロの吹雪に咽び泣く。
今作はシンプルであり、それを純粋に練り上げた名盤です。
ゆっくりと悲哀を噛み締めるようなM-5“Deforestation”の後半の慟哭は多くのメロデスファンの胸をも焦がすはず。
彼らの素晴らしいところはD-Beatのドタバタ爆走一辺倒のマンネリを払拭する工夫であり、後半になると顕著にメロディアスな側面が一気に花開きます。
ドローンとボイスサンプリングの不気味なインストM-10“Outro”で感傷を断ち切りM-1に戻す、という構成もなかなか知的。
触れれば壊れそうな繊細さをあえて壊すことで張りつめた緊張感を最後まで保った作品です。


1. Intro
2. Bakom Stangda Dorrar
3. Act Right Now
4. Utan Manskligt Varde
5. Deforestation ★
6. Fran Vaggan Till Graven
7. Utbrand
8. Nykter
9. Girighetens Krig
10. Outro
(2015/Halvfbrikat)
Time/26:55