むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Gigan / Undulating Waves Of Rainbiotic Iridescence

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Gigan / Undulating Waves Of Rainbiotic Iridescence


USのテクニカルデス/プログレッシヴデスメタルバンドによる4作目フルレングス。


Giganと書いてガイガンと読みます。
ゴジラに出てくるあの怪獣から取られた名前ですね。
彼らの音楽性は、Gorgutsからの影響を受けたものであり、それをSF的暗黒空間へと拡張しまくったものです。
そして彼らの音は非常によくわからない。
簡単に言えば混沌としていて前衛的な展開を見せつつ超絶技巧で残虐なデスメタル
とにかく一筋縄ではいかない音楽性で、縦横無尽にリフがあちらこちらから襲いかかり、変則的なドラムが聴き手をとにかく撹乱しまくるんですよね。
そのため、既存のものに当て嵌めるのは至難の技。
こう書くと実験に走りすぎて聴くに耐えない作品なのかと思いきや、存外キャッチーな部分も顔を見せるし、何よりデスメタルとして単純にかっこいい。
時に顔を出す邪悪なメロディーは邪悪すぎて美しさすら感じるほど。
ギターのみならず、シンセ、ザイロフォンすら馴染ませる特異な感性はますます磨き抜かれています。
メンバー変更何のその、GiganはEric Hersemannがいれば成立します。HersemannこそがGiganの母体です。
新加入のJerry Kavouriarisの壮絶なグロウルも新たな血肉として機能しています。
初っぱな10分で篩をかけてくる暗黒宇宙空間に放り出されるM-1“Wade Forward Through Matter And Backwards Through Time”からして凄まじい。
ダークで身体を引き伸ばされるようなM-5“Hideous Wailing Of The Ronowen During Nightshade”の残虐な気味悪さは筆舌に尽くしがたい迫力を湛えています。
苛烈なストップゴーから凄まじいドラムの乱打と奇妙かつ残虐なリフが入り乱れるM-6“Hyperjump-Ritual
Madness”の毛穴が開くようなおぞましさや、比較的ストレートなブルデスかと思いきや全くそうじゃない変態暗黒デスメタルM-7“Crockwork With Thunderous Hooves”に変わらぬ美意識を感じられるでしょう。
混沌とした奇怪な凶悪さに脳味噌をかき混ぜ続けられる一枚です。
Giganの作品の中でも、最も変態でかっこいい作品だと思います。


1. Wade Forward Through Matter And Backwards Through Time
2. Elemental Transmography
3. Plume Of Ink Within A Vacuum
4. Ocular Wavelengths' Froral Obstructions
5. Hideous Wailing Of The Ronowen During Nightshade
6. Hyperjump-Ritual Madness ★
7. Crockwork With Thunderous Hooves
8. In Between,Throughout Form Of You
(2017/Willowtip)
Time/55:14