Excalion / Dream Alive
フィンランドのメロディックパワーメタルバンドによる4作目フルレングス。
何の衒いもない、真っ向からのメロパワ。
北欧フィンランドという単語から想像されるそのままの音を鳴らしています。
7年ぶりの新譜で、その間Voとベースが交代しています。
Excalionと言えば、いなたくも熱いVoが話題になったことでも知られていて、新加入のVoにも注目されていました。
結果からいくと、メロパワ度が増しました。
中音域のやや甘めながらも力強さ、伸びやかなハイトーン、何より清涼感のある声質が演奏と見事に合致。
前任者ほどの熱さは控えめなので、そこは賛否あると思いますが、新加入のMarcus Langもなかなかどうして、非常に巧いVoです。よく見つけてきたな、と感心しました。
ギターはメタルというよりはメロディアスハード寄りの丁寧な演奏主体ですが、時折重たいスラッシーなリフを織り交ぜたりして心憎い。
今作最大の売りはシンセの煌びやかさ。これでもか!と言わんばかりにキラキラと星屑を振り撒くように弾きまくっております。
この方向転換が、今作最もメロパワ感を出している秘訣。
加えて、Voとの相性もすこぶるいいです。
得意とするミドルの重厚感あるM-3“Marching Masquerade”でも煌びやかさを増しており、喜ばしいことに全体的に疾走する曲が増えているので、アルバムにメリハリがあります。
少しプログレメタルを意識したようなM-7“Deadwater Bay”のダークで郷愁を誘うようなメロディーと重たいグルーヴの蜜月、最終曲M-11“Portrait On The Wall”では技巧的な面を見せながらもキラキラしていて最近のCircus Maximusのようでもあります。
作中唯一のバラードでもあるM-8“The Firmament”の珠玉っぷりには目頭を押さえる諸氏も多いのでは。
このバンドならではの驚きはさほどありませんが、安定したキラキラなクサいメタルが聴けるので日本でも受けそうですね。
アートワークの示すように、ドラマティックな快作です。
1. Divergent Falling
2. Centenarian
3. Marching Masquerade
4. Amelia
5. Release The Time
6. One Man Kingdom
7. Deadwater Bay ★
8. The Firmament
9. Man Alive
10. Living Daylights
11. Portrait On The Wall
(2017,Scarlet)
Time/59:47
※デジパック、12Pブックレット付。