むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Foo Fighters / Concrete & Gold

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Foo Fighters / Concrete & Gold

USのロックバンドによる9作目フルレングス。


名実共に巨大化したロックバンドに、私が求める最適解の一つ。
Foo Fightersの新作は、非常に風通しのいい、それでいてしっかりと重厚な作品に仕上がっています。
1stの頃から追いかけ続けてきたファンには賛否分かれるかもしれない。
けれども、Foo Fightersが巨大なバンドであることを最初から知っていて今作を手に取った私のような者には、極上の“ビッグなロック”を体験できます。
個人的に、ビッグネームのロックバンドによる作品に求められるものの第一義は“キャッチーであること”だと思っています。
これはどんなバンドであっても、必ず楽曲あるいはメロディーあるいは曲構成に取っかかりを持っています。むしろそれがないと話題にすらならない。
Foo Fightersの場合は、間違いなくグランジ上がりのキレとメロディー、Dave Grohlの年代からも想像しやすい70sのロックバンドから影響されたようなHRのビッグなリフや陽性の熱量です。
前者は初期から濃厚で、後者は“In Your Honor”辺りから顕著になっていると思います。
前者が濃密な近作は前々作“Wasting Light”で、Foo Fightersに求められているものがしっかり刻まれていました。
前作はまた立ち位置が特異なのですが、今作は後者に属します。
さらに、Grohlの受けた、要は聴いて育ったものがより直接的に反映された作品。
そういうわけで、今作はThe BeatlesLed ZeppelinMotorheadあるいはAC/DCを大胆に繋いでみせ、それでいて90s以降の感性でシェイクしたような作品です。
加えて、絶妙にキャッチー。ポップスレスレのメロディーにぶっといリフとノイズが乗るM-2“Run”からして爽快ですし、プログレッシヴなかほりを前面に押し出して展開する名の通り空の広大さを表現したようなM-4“The Sky Is A Neighborhood”やカントリーからいきなり音量をぶち上げてエモいグランジに変化するM-6“Dirty Water”など飽きさせない工夫が、自然体で鳴らされているのが嬉しいところ。
個人的にはM-3“Make It Right”のわかりやすくクラシックなHRのリフ、ストーナー寄りのグルーヴを放つ表題曲M-11“Concrete & Gold”に今作の魅力が詰まっているようにも映ります。
正直、ここまで壮大でキャッチーかつ成熟したHRアルバムを持ってこられるとぐうの音も出ないです。感服しました。
自信作なのも頷ける出来です。


1. T-Shirt
2. Run
3. Make It Right
4. The Sky Is A Neighborhood
5. La Dee Da
6. Dirty Water
7. Arrows
8. Happy Ever After (Zero Hour)
9. Sunday Rain
10. The Line
11. Concrete & Gold ★
(2017,RCA,Sony
Time/48:16
※紙スリーヴ、16Pブックレット、ライナーノーツ、ステッカー付。