むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Serenity In Murder / The Eclipse

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Serenity In Murder / The Eclipse

日本のシンフォニック/メロディックデスメタルバンドによる3作目フルレングス。



海洋に漂うような情緒の叙情的なメロディーをド派手なストリングスアレンジとブルータルな演奏で聴かせてくれる音楽性は、さらに磨き上げられました。
慟哭に咽ぶような哀感を湛えたグロウルは、女性的な繊細さと力強さを増しています。
Arch EnemyAngelaが加入して以後、女性のデス声Voは珍しいものではなくなりましたが、数多いる中でもEmi嬢はトップクラスに位置付けられる存在感を放っています。
ただSerenity In Murderの場合、バンドの軸にあるのはVoではなく、あくまでFreddy氏による泣きまくるギターであると思います。
このジャンルの中でもコンパクトかつツボを押さえた精緻な楽曲デザインはギターを自由かつ華やかに聴かせてくれるんですね。
前作で花開いたと思しき彼のセンスはここにきて一気に開花したような空気を感じ取れます。
それほど今作、曲の完成度が物凄いです。
M-3“Isle Of The Dead”のメタルコア的アグレッションをメロデスに落とし込むセンスや耳を削り取るような暴虐性を壮麗に撒き散らすM-4“The Revelation”などといった楽曲の破壊力は凄まじいです。
その中でもM-7“The Sea Is...”の絶対的アンセム感。
言うなればメロデスのバラードなわけですが、ブラストの嵐が吹き荒れる中でも雄大かつ壮大で涙腺を刺激してくれ、Arch Enemyであれば“Silverwing”、Dark Tranquillityであれば“Punish My Heaven”か“The Treason Wall”といった楽曲みたく合唱を誘われそうな曲なんですよね。
不満なところも明確にあって、アルバムをインストで〆るところと特に前半フェードアウトに頼りすぎな印象を受けるところ。
ただこれはあくまで個人的な趣向なので、気にならない方の方が多いと思います。
情緒豊か、美しく激しい今作に酔いしれてみてはいかがでしょうか。
将来的にフルオーケストラをバックに演奏する作品も聴いてみたくなる力作ですね。


1.  Earthrise
2.  A Torch For Avengers
3.  Isle Of The Dead
4.  The Revelation
5.  Dancing Flames
6.  Genesis
7.  The Sea Is...
8.  Hybrid Evolution
9.  Phalaris
10.  Dreamfall
11.  Land Of The Rising Sun
12.  The Eclipse
(2017,Oyster Brothers)
Time/40:32
※プラケース、8Pブックレット、ライナーノーツ付。