むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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The Big Moon / Love In The 4th Dimension

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The Big Moon / Love In The 4th Dimension

UKのグランジポップ/ロックバンドによる初フルレングス。



最近のUKロックには、ブリットポップのキャッチーな質感をUSグランジの流れを汲むノイジーなギターサウンドでぶちまける一派が定着しています。
それをNME辺りではネオグランジ等と呼称していますが、このThe Big Moonもその一派に入る音楽性です。
さらに言えば、彼女たちの鳴らす音は、かなりわかりやすく、全うです。
ほんのりとダークで、官能的な甘さの残るメロディーをギターノイズで炸裂させる、Nirvanaの“Lithium”やThe Jesus & Mary Chain、実験作ではない後年のSonic Youthなどが聴いていると横切るタイプ。
若干西部劇のようなテイストもあったりするのがスパイスではありますが、変化球というほどではないのですんなり聴けると思います。
彼女たちの最大の武器はそのガレージポップに落とし込むまとめ方。
音楽性自体が素直なのでサラッといけてしまう反面、気付いたら中毒性のある甘さに蕩けてしまうのですね。
何となく若い頃のいしのようこに見えて仕方ないフロントガールのJulietのダウナーで低熱のVoもなかなかに可愛らしかったりします。時々犬の鳴き真似やりますけど。
技巧で魅せるタイプのバンドではないですが、何気にドラムパターンの多彩さは心憎い。
M-3“Cupid”やM-8“Silent Movie Susie”のような絶対的なアンセムに仕立て上げたり、M-1“Sucker”M-14“Eureka Moment”のような西部劇ポップも楽しいですが、全体的にはダウナーでドリーミーな空気が覆うのが個性と言えば個性。
Wolf AliceやPumarosaのような圧倒的な個性はないにしろ、10年後生き残っていたりするのは案外こういうバンドだったりするので今後の音楽性の拡張に期待できる一枚です。
しかしジャケットがオシャレで可愛いですね。


1. Sucker
2. Pull The Other One
3. Cupid
4. Formidable
5. Bonfire
6. The Road
7. Happy New Year
8. Silent Movie Susie
9. Love In The 4th Dimension
10. Zeds
11. The End
12. Hold This
13. The Undead
14. Eureka Moment ★
15. Something Beautiful
(2017,Fiction)
M-12~15デラックス盤ボーナストラック。
Time/54:25
※プラケース、12Pブックレット付