むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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John Frum / A Stirring In The Noos

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John Frum / A Stirring In The Noos


USのデスメタルバンドによる初フルレングス。



元The Dillinger Escape PlanのLiam Wilsonと元The FacelessのDerek Rydquistが結成したバンドです。
John Frumとは、バヌアツ共和国に伝わる米軍兵士のことで、現地では宗教的な意味合いを持つ人物のこと。
そんな逸話を持つ人物をバンド名に付ける通り、彼らの音楽性はかなり癖があります。
大きな枠ではデスメタルでありつつ、TDPのようなカオティックな展開をします。
The Facelessのようなテクデス然とした、システマチックな音象ではありません。
混沌の中で渦巻き怒り猛るような音楽性であり、ハードコア的な側面もかなり強いです。
かと言って衝動一辺倒にもなっていないのは、不気味で悍ましく妖しいメロディーラインの影響。
近年のDeathspell OmegaやUlcerateにも通じるところも多く、乱反射するようなギターの入れ方もその片鱗を感じ取ることができるのではないかと思います。
特にM-3“Memory Palace”の郷愁を刺激する美しいメロディーの下から残酷な現実を抉り出すような長尺曲では、そういった要素が顕著。
反面M-2“Pining Light”やM-8“Wasting Subtle Body”のような衝動を全面に押し出した曲ではデスメタルの暴虐性もしっかりあります。
アルバム自体は8曲で43分で程良いバランスなので、聴き疲れしないのもいいポイントですね。
カオティックなデスメタルの側面とハードコアの衝動を巧く共存させた好盤です。


1. Presage Of Emptiness
2. Pining Light
3. Memory Palace
4. Through Sand And Spirit
5. Lacustrine Division
6. He Come
7. Assumption Of Form
8. Wasting Subtle Body ★
(2017,Relapse)
Time/43:14
※プラケース、16Pブックレット付。